『朝日新聞』の記事;
さて、「工藤会」を巡っての記事;
死刑判決の工藤会トップ、裁判長に「生涯後悔するぞ」
8/24(火) 16:47配信
4件の市民襲撃事件で死刑判決を受けた特定危険指定暴力団・工藤会(北九州市)*1のトップ、野村悟被告(74)は、24日の福岡地裁での公判が終わった後、裁判長に向かって「生涯このことを後悔するぞ」と発言した。
発言があったのは、野村被告に対し求刑通り死刑の判決の言い渡しが終わり、閉廷が告げられた直後。野村被告は足立勉裁判長に向けて「公正な判断をお願いしたけど、全然公正じゃない。生涯このことを後悔するぞ」と言った。
無期懲役の判決を受けた工藤会ナンバー2の田上不美夫被告(65)も、退廷しながら「ひどいねあんた、足立さん」と発言した。
福岡地検によると、指定暴力団の現役トップに死刑判決が出るのは初めてとみられる。
https://news.yahoo.co.jp/articles/5693968388a1abbb624f6ac351ea022eca49793b
AERA dot.取材班「工藤会の総裁に死刑判決 元組員が語る「親分の指令とヒットマンの悲哀」」https://news.yahoo.co.jp/articles/bf2af71b3cc45a698ae31cde4adf17adb00eda9e
野村や田上が殺人を「命令」した直接的な証拠はない。だから、「無罪」を主張していたわけだ。
この記事には、「工藤会にかつて所属した50歳代の元組員、Aさん」の証言が出てくる。
言語行為論の教科書! 絵に描いたような行為遂行的発話(performative utterance)、特に発話媒介行為(perlocutionary act)。
(前略)工藤会の直系組長から呼びつけられた。なぜか、組事務所ではなく、喫茶店だった。「組長は世間話をしながら、急に険しい表情で『つまらんな』『あいつは本当に腹が立つ』と何度か繰り返しました」
Aさんは当時をこう振り返る。組長から何度もそう言われ、覚悟を決めたという。
「腹が立つという男を私に襲撃してこいという指令だと悟りました。いよいよ来たかと覚悟を決めざるを得ませんでした」
Aさんは、数人の組員と「襲撃部隊」を結成。ヒットマンとして「武器」も手渡された。夜闇に隠れながら、ターゲットの男性を見張ったという。しかし、なかなか襲撃のチャンスがない。
「いざ襲撃、と私は銃を腹に忍ばせて深夜や早朝、張り込みました。昼間に尾行したこともあった。行くぞという意気込みと、人を殺すという怖さの両方ありました。覚悟を決めていたが、途中、何度もやめたい、やりたくないと思ったこともありました」(Aさん)
しかし、その後、理由は判然としないが、襲撃の「指令」はうやむやになったという。
取り敢えず、オースティンの『言語と行為』*2をマークしておく。See also
池田光穂*3「行為遂行的発話と事実確認的発話」http://www.cscd.osaka-u.ac.jp/user/rosaldo/000606nichi.html
*1:See also https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20060826/1156577555 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20141101/1414854742 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20170119/1484832887 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20181011/1539272178
*2:Mentioned in https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20070515/1179205872
*3:See also https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20070820/1187612830 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20090727/1248714718 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20090804/1249374491 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2020/07/02/095421