磯野真穂*1「医療人類学って何ですか?」http://blog.mahoisono.com/whatismedicalanthorpology/
「医療人類学」とは
これは最初に引かれた
人が生まれ、死んでゆく過程において、人々は自ら及び他者の身体をどのように気遣い・考えるのかを、それぞれの人の視点に立ちながら、観察、聞き取り資料調査を駆使して明らかにし、その知見から人が身体とともに生き、死んでゆくことの意味を明らかにしようとする学問。
という池田光穂氏*2の定義*3よりも納得できるものだと思った。勿論、池田定義が誤りだというわけではない*4。磯野さんに話を戻すと、その特徴は「医療」で話を終わらせないで、「身体」への介入ということへの還元を試みていることだ*5。世の中には、私たちの常識から見ると「医療」なのかどうかよくわからない事象が沢山ある。例えば、割礼、ボディ・ピアッシング。また、タトゥーを彫るのに医師免許が必要か否か、タトゥーは「医療行為」か否かが裁判で争われたことがあった*6。或いは、美容整形はどうなのか、等々。マルセル・モースは身体への社会的介入を「身体技法」*7と呼んだ(「身体技法論」)。「医療」も多様な「身体技法」の形態のひとつということになる。
・健康と病気を対象にした人類学的研究を医療人類学と 呼ぶ。・人文社会科学に対しておこなった医療人類学の最大の 功績は「人類にとって医療とは多様な顔をもつ実践の 集合体であり、西洋近代医療はそのひとつの姿にすぎ ない」ことをさまざまな具体的事象(=医療民族誌) の提示を通して明らかにしたことである。
*1:See also https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2020/04/30/151627
*2:See also https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20070820/1187612830 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20090727/1248714718 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20090804/1249374491
*3:「医療人類学入門」https://www.cscd.osaka-u.ac.jp/user/rosaldo/MedAnthro101204.pdf
*4:アップグレードされた池田定義には別の機会に言及してみたい。
*5:精神医療はどうなんだ? ということはあるけれど、取り敢えずここでは無視する。
*6:See 関根和弘「「タトゥーは医療行為ではない」 医師免許も不要。医師法違反に問われた被告に逆転無罪」https://www.huffingtonpost.jp/2018/11/14/tattoo-judgment_a_23589050/
*7:See eg. 池田光穂「身体技法」https://www.cscd.osaka-u.ac.jp/user/rosaldo/091226body_tech.html See also https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20070216/1171594717 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20090508/1241754422 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20090513/1242181842 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20090716/1247720308 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20120102/1325438155 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20131112/1384194411