「逃げ狐」

ここ最近、YouTubeでスウィート*1の”Fox on the Run”*2を頻繁に聴いている。平均して、1日に2回は聴いているんじゃないかな。1974年の曲。映画『ガーディアンズ・オヴ・ギャラクシー:リミックス』で使われたことにより、2016年になって突然再ブレイクしたという*3。私も含め、スウィートってこの”Fox on the Run”の一発屋だったんじゃない? と思っている人も少ないのだろうけど、一発屋は大袈裟であるにしても、演奏技術においてもルックスにおいても決して悪くはないのに、これ以降の大きな成功がなかったというのは不思議でもある。もしかして、(Tレックスとも重なるだろう)ハード・ブギという様式それ自体がその後マイナーなものになってしまったということだろうか。まあ、同時期のクイーンとかエアロスミスが成功しすぎだということもあるかな。
ところで、Wikipediaによると、スウィートはジャンル的にはハード・ロックである以前にグラム・ロック*4であるという。「グラム・ロック」って、そのブーム以降に語られたり・論じられたりしてきたのだろうか。勿論、「グラム」を担ったデヴィッド・ボウイTレックスマーク・ボラン)についての語りや論が途絶えるということはなかっただろう。そうではなく、クイーンとかも含む1ジャンル*5としての「グラム」については? (「グラム・ロック」のブームがとっくに終わり、ボウイも化粧を落とした)1980年代に、フェリックス・ガタリ*6が『フールズ・メイト』のインタヴューで、たしか、グラム・ロックはロックを両性具有化したが現在(1980年代)はヘヴィ・メタルなどのマッチョ的なバックラッシュを迎えていると語っていたのだった。当時はまだ「クイア」という用語はなかった。女性がロックに本格的に参入するのはパンク以降だったという印象もあるのだけど、それ以前に、「グラム」は男性が女装するだけでなく、女性のステージへの進出を歴史的に後押ししたといえるのだろうか。スージー・クアトロにしても、或いはスージー・スーにしても。