論より記述!

田中俊英*1「保育士は哲学者~「誰にでもできる」への反論」https://blogos.com/article/387297/


堀江貴文が「保育士」の仕事は誰でもできるので給料が安いと発言し・炎上したのは2017年のことだったが*2、最近この炎上発言が再度注目されているのだという。
それで、上掲のテクストはその堀江流の「誰にでもできる」論への「反論」らしいのだけど、その内容はとんでもなくぺらい。これでは堀江は痛くも痒くもないだろう。実際のところ、メルロ=ポンティとかジル・ドゥルーズとかフェリックス・ガタリといった哲学者*3の名前を出していきがっているだけなのだ。
必要なのは〈論〉ではなく、保育士の仕事を通じて開かれる世界を、なるべく一人称性に寄り添いながら記述することなのだろうと思う*4
ところで、本田和子先生に『異文化としての子ども』という本があるのだけど*5、そこからすると、保育士は哲学者よりも寧ろ文化人類学者に近いかも知れない。

異文化としての子ども (ちくま学芸文庫)

異文化としての子ども (ちくま学芸文庫)

*1:See also https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20140102/1388675061 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20180622/1529683308 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20181023/1540256977

*2:See eg. キャリコネ編集部「ホリエモン「保育士の給与が低いのは誰にでもできる仕事だから」発言で物議 「保育士馬鹿にしてる」「言っていることは正しい」」https://news.careerconnection.jp/?p=41768&page=2 駒崎弘樹「保育士は「誰でもできる仕事」か」https://news.yahoo.co.jp/byline/komazakihiroki/20171017-00077003/ キャリコネ編集部「ホリエモンの「保育士は誰でも出来る仕事」に反論相次ぐ フローレンス駒崎氏「研究者などの専門家が、誤解訂正すべき」」https://news.careerconnection.jp/?p=41826 Mnetioned in https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20171018/1508348476

*3:ガタリは狭義の哲学者ではないだろうけど。

*4:ここでいう記述には、言語化のほかに映像として撮ることも含まれるだろう。

*5:Mentioned in https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20100715/1279191384