坂本龍一 - Living, Loving, Thinking, Again

四月の魚の次の日の夜、民放の某番組に突然テロップが飛び込んできた。促されるようにスマートフォンを取り上げて、『日刊スポーツ』の記事を読んだ。

坂本龍一さん死去、71歳　YMOで一世風靡　戦メリなど映画音楽多数手掛けた「教授」
[2023年4月2日21時39分]

音楽家の坂本龍一（さかもと・りゅういち）さん*1が3月28日亡くなったことが2日、分かった。71歳だった。
所属のエイベックスがHPで、3月28日に亡くなったと発表。「2020年6月に見つかったガンの治療を受けながらも、体調の良い日には自宅内のスタジオで創作活動を続け、最期まで音楽と共にある日々でした」とつづった。坂本さん自身の強い遺志により、葬儀は近親者のみで済ませていることも報告した。
また報告文の最後には「坂本が好んだ一節をご紹介します」として「Ars longa,vita brevis　芸術は長く、人生は短し」とつづった。
78年結成のイエロー・マジック・オーケストラ（YMO）メンバーとして一世を風靡（ふうび）。散開（解散）後は83年「戦場のメリークリスマス」*2や、88年「ラストエンペラー」*3など、数々の映画音楽も手掛けた。「教授」のあだ名で親しまれ、環境や平和問題にも積極的に取り組んだ。14年7月に中咽頭がんを公表後は、闘病の日々でもあった。
坂本さんは78年2月に細野晴臣（75）今年1月に亡くなった高橋幸宏さんとイエロー・マジック・オーケストラ（YMO）を結成。キーボード及びシンセサイザーを担当し、「教授」の愛称で親しまれた。
YMOはシンセサイザーやコンピューターを駆使した音楽で、テクノブームをけん引した。「君に胸キュン」「ライディーン」などが大ヒット。メンバーの髪形「テクノカット」も流行するなど、社会現象にもなったが、83年に散開（解散）した。
坂本さんはYMOとして活動する一方、ソロとしても華々しく活躍した。YMO結成から8カ月後の78年10月にアルバム「千のナイフ」でソロデビュー。83年映画「戦場のメリークリスマス」（大島渚監督）の音楽を手掛けると同時に、ヨノイ大尉役で出演した。同映画で日本人初の英国アカデミー賞作曲賞を受賞。87年映画「ラストエンペラー」では、日本人初のアカデミー作曲賞を受賞したほか、ゴールデングローブ賞音楽賞、グラミー賞最優秀オリジナル映画音楽アルバム賞など音楽賞を総なめした。90年「シェルタリング・スカイ」で2度目のゴールデングローブ賞に輝いた。
近年は環境や平和問題への発言でも注目され、11年東日本大震災後は「反原発」の姿勢を鮮明に打ち出してきた。追悼集会で犠牲者の冥福を祈るスピーチをし、官邸前の抗議行動に参加したこともあった。
プライベートは72年に東京芸大2年の時に2歳年上の女性と結婚したが、離婚。82年2月に矢野顕子（68）と結婚し、長女で歌手坂本美雨（42）と長男をもうけたが*4、14年もの別居生活を経て、06年夏に離婚した。矢野と別居した前後から女性スタッフAさんと交際。99年に出演したテレビ番組では、Aさんとの間に男性の子供（当時7歳）がいることを告白している。
14年7月に中咽頭がんを公表後は、闘病の日々でもあった。中咽頭がんは寛解も、21年1月には直腸がんの治療を公表。さらに同6月発売の文芸誌「新潮」7月号で、がんがステージ4で、直腸の原発巣と数カ所の転移巣を摘出する20時間に及ぶ外科手術を受けたと告白。さらに21年10月と12月に受けた両肺に転移した、がんの摘出手術など、1年間に大小6つの手術を受けたと明かした。
22年12月には、ピアノ・ソロ・コンサート「Ryuichi Sakamoto：Playing the Piano 2022」を世界約30の国と地域に配信。配信にあたり「ライブでコンサートをやりきる体力がない。この形式での演奏を見ていただくのは、これが最後になるかもしれない」とコメント。「日本でいちばんいいスタジオ」と折り紙をつける東京・渋谷のNHK放送センターの509スタジオで収録された配信には多くの注目を集めた。
◆坂本龍一（さかもと・りゅういち）1952年（昭27）1月17日、東京都生まれ。東京芸大在学中にスタジオ・ミュージシャンとして活動開始。78年結成のYMOがブームに。88年「ラストエンペラー」でアカデミー作曲賞。89年にはグラミー賞オリジナル映画音楽アルバム賞。東京芸大大学院出身。「教授」の愛称は、坂本さんが大学院生だったことに驚いた高橋幸宏さんが「大学教授にでもなるの？」と話したことから付いた。
https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202304020001780.html