コッポラとチベット

施雨華「陳冠中 以小説談論中国」(『南方人物週刊』2013年8月19日号、pp.86-90)*1


1980年代後半にフランシス・フォード・コッポラ*2がダライ・ラマ13世の伝記映画を作ろうとしていたことを知る。偶々コッポラと知り合った 陳冠中氏は、コッポラが亜細亜をネタにした映画を撮りたがっているのを知り、ダライ・ラマ13世のことを撮るよう提案した。それから、陳氏はプロデューサーとしてチベット関係の資料を集め始めたが、コッポラ側の資金調達が上手くいかず、この企画はぽしゃってしまった(p.87)。
コッポラはベルトリッチの『ラスト・エンペラー』の向こうを張ろうとしたのだろうか。尤もベルトリッチはその後『リトル・ブッダ』を撮っているのだが。

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さて、 陳冠中氏はその後もチベットに関心を持ち続け、一方ではブータン人僧侶、宗薩仁波切(Dzongsar Jamyang Khyentse Rinpoche)*3に師事し、他方ではチベット人知識人との交遊を深め、「56個民族、除了漢族、惟一熟的就是蔵族」と自称している(p.88)。また今年初めに香港と台湾で上梓された陳氏の小説『裸命』はラサと北京を舞台とし、チベット人を主人公とするもの。