Not cloudbusted

Marco Silva “Australia floods: Unfounded cloud seeding claims spread online” https://www.bbc.com/news/science-environment-62049654


濠太剌利は歴史的な大豪雨に襲われたが、陰謀理論クラスタからは、この豪雨が政府の「気象兵器」*1によって人工的につくられたものだという言説が流されている。たしかに、雲を操作して雨を降らせるcloud seedingという人工降雨技術は確立している。しかし、今回の濠太剌利の豪雨とcloud seedingを結び付けるエヴィデンスはなく、もしcloud seedingが行われていたとしても、そもそもcloud seedingによって豪雨を作ることはできない。
実際のところ、要因は勿論複合的だけど、太平洋東部の赤道域の海面温度が低下するラ・ニーニャ現象*2の影響が強いようだ;


There is no single cause for the intense rainfall Sydney has experienced in the last few days. But experts say the flooding has been worsened by climate change and a La Niña weather phenomenon.

A La Niña develops when strong winds blow the warm surface waters of the Pacific away from South America and towards Indonesia. In their place, colder waters come up to the surface.

In Australia, a La Niña increases the likelihood of rain, cyclones, and cooler daytime temperatures.

ラ・ニーニャはエル・ニーニョ*3の反対(女性形)。


白石圭子「ラニーニャ現象 夏にかけて続く 6月~8月の世界の天候の特徴 終息するのはいつ?」https://tenki.jp/forecaster/k_shiraishi/2022/05/16/17446.html


これによると、


気象庁が今月12日に発表した「エルニーニョ監視速報」によると、昨年秋からラニーニャ現象が続いており、今後、夏にかけてラニーニャ現象が続く可能性が高い(70%)と予想しています。

ラニーニャ現象は、太平洋の熱帯域で、東部で冷たい水の湧き上がりが平常時より強く、海面水温が平常時より低くなっています。一方、西部には暖かい海水がより厚く蓄積します。


ラニーニャ現象時は、西太平洋熱帯域の海面水温が上昇し、西太平洋熱帯域で積乱雲の活動が活発になります。このため、日本付近では、夏季は太平洋高気圧が北に張り出しやすくなり、気温が高くなる傾向があります。沖縄・奄美では南から湿った気流の影響を受けやすくなり、降水量が多くなる傾向があります。沖縄・奄美で6月から8月に降水量が多い傾向はラニーニャ現象発生時、統計的に有意な傾向です。

タイトルはケイト・ブッシュの曲名*4から。