「戦争」

「戦争がなくなるには、どうしたらいいの?(小4)」(「てつがくカフェ」*1)『毎日新聞』2022年3月27日


松川えり(「マツカワさん」)*2


(前略)気になるのは、ほとんどの戦争が、家族や祖国、信仰など、誰かの大切なものを守るために起こっているということだ。「大切なものを守るために戦う」なんて、ヒーローみたいでかっこいい。けど、実際は失われるものも多いし、誰かの大切なものを守るために別の誰かの大切なものを奪っていいのかという問題もある。だから、それぞれの大切なものを守るなにか別の方法を、なんとかして見つけられないかなあ。
河野哲也(「コーノさん」)*3

人間同士で利害や考え方がぶつかるのは普通のことで、グループ同士でそれが起きることは常にある。私たちも、たとえば、お隣の敷地との境界線がどこにあるかで意見が合わない時には、互いに話し合ったり、裁判所でどちらは正しいかを判定してもらったりすする。それに対して、生じた問題を話し合いではななくて、暴力で解決しようとするのが戦争だね。なぜ、戦争を仕掛ける人たちがいるかというと、それで得をする人がいるからだ。
マツカワさんは兵士だけではなく、住民も命を落とすし、財産も破壊されてしまうと言ったね。それはその通りだけど、決して兵士として戦場に送り込まれない人や財産も安全な人たちがいる。それどころかそうした犠牲の上に自分は得をすると考える人たちがいるんだ。そういう人たちが戦争を起こす。だから、その国の人たちがみんな平等ではなくて、立場の高い人とそうでない人がいるような国が戦争を仕掛ける国なんだと思う。
土屋陽介(「ツチヤさん」);

戦争がなくならないのは、戦争の残酷さは体験した人しかわからないからじゃないかな。体験者は戦争に反対するけど、50年くらいするといなくなってしまう。すると、戦争を知らない世代が戦争の怖さを知らずに新たな戦争を起こす。
だとしたら、戦争の実態をできるだけリアルに次の世代に伝えることが、戦争をなくす一番の方法だ。そのために映像を使うことは今でもできるけれど、これからは仮想現実(VR)の技術だって使える。体験をより生々しく次世代に残せる技術が発達すれば戦争はなくなると、僕は少し楽観的に考えているよ。
さて?