承前*1
道徳を問いなおす リベラリズムと教育のゆくえ (ちくま新書)
- 作者: 河野哲也
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2011/03/09
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先日、河野哲也*2『道徳を問いなおす――リベラリズムと教育のゆくえ』を読了した。
取り敢えず目次をメモ;
著者の主張を一言で表現すれば、「現代社会における道徳教育とは、リベラルな民主主義社会を維持し、発展させる働きを担う主権者を育成することに他ならない」(p.13)、「道徳教育とは、民主主義教育と同じものなのである」(pp.13-14)ということになる。またこの本は「心理主義」*3批判という側面を持っている(pp.24-26)。これに関しては、著者の前著である『暴走する脳科学』の議論も併せて参照されるべきであろう。
序章 これまでの「道徳」
第一章 道徳を語る準備――リベラリズムと教育
第二章 共に生きるための「道徳」
第三章 他者を知り、共感するために――エコロジカル・ケイパビリティ・アプローチ
第四章 道徳には哲学が効く
あとがき
参考文献
- 作者: 河野哲也
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2008/11/14
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また「リベラリズム」と「民主主義」が混同されており、そのために(例えば)カール・シュミットへの反論の説得力が減じているということがある(pp.53-54)。
それから、著者は「個人が目的であり、社会は個人のために機能すべき手段であり道具である」という(p.33)。その政治的な含意はともかくとして、社会理論という準位においては、「個人」と「社会」の間に功利主義的な関係を設定することによって、実体としては存在しない筈の「社会」を物象化・実体化してしまうことになる。
*1:http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130604/1370368742
*2:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100110/1263129732 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101226/1293340984 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110104/1294151730 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20120605/1338911826
*3:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060425/1145932371 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070122/1169448575 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070719/1184875682 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070923/1190523230