白金で硫酸

『読売新聞』の記事;


白金高輪駅で20代男性「痛い痛い」、硫酸かけられたか…女性も左足やけど
8/24(火) 22:10配信


読売新聞オンライン

 24日午後9時10分頃、東京都港区の地下鉄白金高輪駅から「人が液体をかけられて負傷した」と119番があった。警視庁高輪署や東京消防庁によると、20歳代男性と30歳代女性が男に硫酸とみられる薬品をかけられるなどし、顔や体にやけどを負った。男は現場から逃走しており、警視庁が傷害容疑で行方を追っている。

 高輪署幹部によると、現場は駅出入り口のエスカレーター付近。男はエスカレーターを駆け上がり、追い抜きざまに男性の顔に向けてガラス瓶に入った薬品をかけて逃走した。女性は現場で転倒した際、左足に薬品が付着したという。

 男は40~50歳代で身長約1メートル75。黒色のポロシャツにズボン姿で野球帽をかぶり、マスクを着けていた。

 目撃した港区の男性会社員(35)は「液体をかけられた男性は『痛い痛い、助けて』と叫んでいた」と話し、エスカレーターと反対側の階段を下りていた世田谷区の男性(46)は「液体は赤くて、ぬるっとしていた。一体何が起きたのか」と驚いていた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/cab599f683a879bed7cdef458f506b6fd6dd413e

犯人が最初から被害者をターゲットとして狙い定めていた可能性が指摘されている;


NNN「“硫酸事件”防カメに“後つける”男の姿」https://news.yahoo.co.jp/articles/b7194057944e94a0bb0b305a18a4782edbb77f45


また、被害者は「全治約6カ月」とされているという。但し、失明のリスクや傷痕が生涯残る可能性は言及されていない;


ANN「「目が見えない」男性6カ月やけど“硫酸”かけ逃走」https://news.yahoo.co.jp/articles/faabb965c55830ed5d4f66c88829440622d590b4


「硫酸」といえば、2015年4月に群馬県高崎市で複数の女性が「硫酸」を掛けられる事件が発生した*1。犯人は直ぐに逮捕されたが、彼が供述した動機は「仕事でムシャクシャしてやった」というものだった(尾崎修二、山本有紀「高崎の硫酸事件:容疑者が黙秘 自宅からバッグ押収 /群馬」http://mainichi.jp/area/gunma/news/20150409ddlk10040100000c.html Cited in https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20150423/1429815738 ))。それ以前には、「自分の精液を入れたふたのない容器を、女性のバッグに入れ」るという事件を起こしていた*2。さらに、(私の生まれる前の話だけど)美空ひばりが「硫酸」で襲撃されるという事件もあった*3


野田太郎*4「怨恨か、無差別か?硫酸男がなかなか捕まらない理由「足取りが途切れ、情報提供が殺到」」https://news.yahoo.co.jp/articles/9a9256a650d81858dfd4c41fb1ba52eca22fa917


「怨恨」と「無差別」というのは必ずしも背反するものではない。オウムのサリンによるテロはその場にいた全員を「無差別」に虐殺することを意図していた(幸いにしてそれは未遂に終わったが)。これに対して、「硫酸」はあくまでも個人をターゲットとした暴力なのだが、勿論個人的な「怨恨」やストーカー的な愛憎に基づく犯罪だという可能性はある。それとともに、ルサンティマンに駆られたヘイト・クライム的な「無差別」ということも考えられる。そこに偶々居合わせた、「勝ち組」に見えた女性が牛刀で刺されたという事件が小田急電車の車内で起こったのはつい先日のことだ*5。硫酸をかけられた今回の被害者も、(犯人にとって)偶々「勝ち組」に見えたのでやられたという可能性もあるんじゃないだろうか。「白金高輪*6には一般にセレブな後光のついたイメージがある。弱者のルサンティマンを煽る所謂〈リア充爆発しろ〉的イデオロギーの蔓延とそれに対する共感の遍在については、ここでは詳論しない。今回の「硫酸」事件の「模倣犯」の出現を危惧する意見もある。ただ、「硫酸」をかけるというのはけっこうハードルが高いことだろうと思う。例えば硫酸のような劇薬を購入するためには個人情報を登録しなければならない*7。危惧すべきは、これとは別の仕方の〈リア充爆発しろ〉的事件だろう。

上の駄文は、犯人が偶々居合わせた人たちの中からターゲットをチョイスして犯行に及んだのではないかという推測を基にして書かれている。しかし、新しい報道によると、犯人はかなり目的意識的に被害者をターゲットとして狙った可能性が高くなっている。より個別的な怨恨によって硫酸をかけた可能性が高まった。
テレビ朝日の報道;


3駅手前で同じ電車に乗車 硫酸かけられ男性重傷
8/26(木) 12:01配信


テレビ朝日系(ANN)

 東京メトロ白金高輪駅で男性(22)が男に硫酸をかけられて重傷を負った事件で、男が少なくとも現場の3駅手前のホームから男性をつけていたとみられることが分かりました。

 24日午後9時ごろ、港区の白金高輪駅構内のエスカレーターで、帰宅途中だった会社員の男性が男に硫酸をかけられて全治約6カ月のやけどをしました。

 近くにいた女性もやけどなどをしました。

 捜査関係者への取材で、現場から3駅手前の溜池山王駅のホームで電車を待っている男性の横に立つ男の姿が確認されていることが分かりました。

 その後、男は男性が乗車したドアの隣のドアから同じ電車に乗り込んだということです。

 警視庁は、男が同じ電車に乗って男性の後をつけていたとみて捜査しています。

テレビ朝日
https://news.yahoo.co.jp/articles/d46d41c52ed747511ce44d8dc48334e9a6a623cf

前田恒彦*8曰く、

事件当日、この男が男性の勤務先周辺をうろついていたという情報もあり、もしそうなら、勤務先から尾行して襲撃の機会をうかがっていた計画性の高い事件ということになります。無差別テロではなく男性だけを狙った事件であれば、犯人の絞り込みも早く進むことでしょう。

ただ、男性に恨みを持つ別の人物の指示や依頼により男が実行役を務めた可能性もあるので、防犯カメラ映像のリレー捜査によってこの男の行方を追うとともに、男性の周辺関係者をも幅広く捜査対象にすべきではないかと思われます。