「仕事でムシャクシャしてやった」?

承前*1

少し時間が経ってしまったが、『スポニチ』の記事;


群馬の硫酸男は執行猶予中の精液男だった
[2015年4月8日9時41分 紙面から]


 群馬県高崎市内のショッピングセンターで買い物客の女性に硫酸をかけたとして、群馬県警捜査1課と高崎署は7日、傷害と器物損壊の疑いで、高崎市山名町、無職北村宣晃(のりあき)容疑者(30)を逮捕した。県警によると容疑を否認している。北村容疑者は昨年12月、自分の精液を入れたふたのない容器を、女性のバッグに入れたとして警視庁に逮捕され、執行猶予中だった。

 なぜ、精液が硫酸にエスカレートしたのか。群馬県警によると、北村容疑者の逮捕容疑は今月2日夜、高崎市内のショッピングセンターで、買い物中の藤岡市の女性会社員(23)の背後から、硫酸を散布し、着衣に穴をあけた上、体にも付着させ、やけどのようなけがを負わせた疑い。女性は軽傷だった。北村容疑者は県警の調べに対し、容疑を否認している。

 高崎市内では2日以降、同様の被害がこの事件を含め、5件相次いでいる。このショッピングセンターでは2日夜、女子大生(21)も同様の被害に遭い、その直前には約4キロ離れたJR高崎駅ビルでパート女性(44)が液体をかけられ、足に軽傷を負った。6日夜には駅ビルで女性会社員(34)が液体をかけられ右足の甲をやけどして、タイツが溶ける事件も発生。4件のうち2件の液体は鑑定の結果、硫酸と判明した。

 4人とは別に、市内で女子大生(20)が2日に液体のようなものをかけられ、上着の一部が溶ける被害も判明。女子大生にけがはなかった。県警は同一人物による犯行とみて6日、駅ビルで2日に防犯カメラに写っていた男の写真を公開したところ情報が複数寄せられた。捜査関係者らによると、他の3つの事件現場でも、似た男が写っており、いずれも黒いバッグを持っていたという。

 山名町の北村容疑者宅の近くの女性は「北村さんの息子さん? ああ、前もね…」と言いかけ、口をつぐんだ。捜査関係者によると、北村容疑者は昨年12月、精液を入れた容器を女性のカバンに入れたとして、警視庁に器物損壊の疑いなどで逮捕されていた。事件は13年11月〜昨年4月に発生。当時都内在住だった北村容疑者が、新宿区や板橋区内で、自分の精液などを入れた容器をふたをしない状態で、10〜20代の女性3人のバッグに入れたというもの。昨年12月に逮捕された北村容疑者は、有罪判決を受け、執行猶予中だった。
http://www.nikkansports.com/general/news/1458503.html


また、『毎日』の記事;

高崎の硫酸事件:容疑者が黙秘 自宅からバッグ押収 /群馬

毎日新聞 2015年04月09日 地方版


 高崎市で買い物中の女性が相次いで硫酸とみられる液体をかけられた事件で、傷害と器物損壊の疑いで逮捕された北村宣晃容疑者(30)が「黙秘します」として取り調べに応じていないことが県警への取材で分かった。氏名の確認には応じ、雑談はしているという。

 県警は2日に起きた2事件について、衣服や所持品に残った液体を分析し、硫酸と特定。6日以降に鑑定を進めた結果、新たに別の2件でも衣服から硫酸を検出した。被害女性4人はいずれもストッキングとスカートをはき、防犯カメラには北村容疑者とみられる不審な男が近づいていた。6日夜に「2日夜に上着に穴を開けられた」と届け出た女子大学生(20)の衣服についても硫酸をかけられたとみて調べている。

 北村容疑者は今回、2日午後7時ごろに高崎市矢中町のショッピングセンター「アピタ高崎店」で発生した2番目の事件に関与した疑いで逮捕された。捜査関係者によると、被害に遭った会社員女性(23)が硫酸をかけられる前に、不審な男に背後をつけ回されたことを記憶しており、事件後に顔が写った防犯カメラの映像を確認してもらったことが容疑者特定の決め手になったという。

 北村容疑者は、女性のバッグに自分の体液や尿入りの空き缶を入れたとして昨年12月に器物損壊容疑で警視庁に逮捕された際は「仕事でムシャクシャしてやった」と容疑を認めていた。

 高崎署は7日夜、北村容疑者の立ち会いで自宅を家宅捜索し、硫酸を入れていたとみられる黒いショルダーバッグを押収。8日、前橋地検高崎支部に送検した。【尾崎修二、山本有紀】
http://mainichi.jp/area/gunma/news/20150409ddlk10040100000c.html

先ず「硫酸」。どちらの記事も、この「北村容疑者」が硫酸という共産もとい強酸性の劇薬をやすやすと入手したことに驚いていない。このことに驚きを感じた。硫酸をそこらの薬局で買えるわけはなく、学校や研究研究機関に実験用の試薬などを納入する特殊な業者に行かなければ買えず*2、そこでも身分証明書の提示が必要なわけだけど、硫酸を売った人も、「無職」がいったい何のために硫酸を買うんだよ? と訝しく思ったのでは? それにしても、硫酸によって、「北村容疑者」自身や警察官が火傷を負うという可能性もあったわけだ。
「北村容疑者」の昨年末の「自分の精液を入れたふたのない容器を、女性のバッグに入れた」という犯罪。「バッグ」は女性性器の隠喩だったのか。それにしても、「仕事でムシャクシャしてやった」という言い訳はどうよ。検事も裁判官も納得してしまったのだろうか。もっとましな言い訳をじっくり考えさせるためにも、実刑を処すべきだった。そうすれば、硫酸をかけるということもやっていなかったわけだ。

*1:http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150407/1428340833

*2:「硫酸」の入手しやすさということで、犯人は理系の学生なんじゃないかと最初思った。