池澤夏樹*1「近藤健二『花咲く大和言葉の森へ』」『毎日新聞』2021年1月9日
国語学者の大野晋*2は老年期に入ってから、日本語と(印度南部の)タミル語との同系列説にのめり込んだ。「しかし彼の説に賛成する者は今の国語界には少ないらしい」。近藤氏は本書において印度南部と日本の「間に仲介項として古代中国語を入れる」。「まず古代中国語があって、東へ伝播して日本語になり、南へ行ってタミル語になった」ということらしい。池澤氏は「素人には学説を精査する力はないから名古屋大学名誉教授の肩書きを信じよう」と言っている。
私は大野晋の話は全くのトンデモじゃないかとずっと思っていた。しかし、1990年代後半に沖浦和光氏の『瀬戸内の民俗誌』という本*3を読んで、海ということを考えたら日本と印度南部が繋がっていないとは言い切れないよねと思ったのだ。マレー=ポリネシア系の人々は元々中国大陸南部から台湾にかけての地域に住んでいたと言われている。
- 作者:沖浦 和光
- 発売日: 1998/07/21
- メディア: 新書
*1:See also https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20050531 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20160525/1464147340 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20180212/1518393029 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20180213/1518477905 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/06/20/091142 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/09/05/105250 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2020/08/24/105427
*2:See also https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20071017/1192588766 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20080714/1216044563
*3:Mentioned in https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20100603/1275576232