伊藤亜紗*1「アリス・ロバーツ著『飼いならす』」『毎日新聞』2020年10月31日
こういう本なのか!
(前略)ちょっと考えれば分かるように、自分とは違う別の種を、そんなに都合よく制御できるはずがない。飼いならしの過程は、実はもっと偶然に満ちていて、相互依存的で、場合によっては向こうがむしろ人間をうまく利用していたかもしれないのだ。
たとえばイヌ。彼らの先祖のオオカミと人間との歴史は氷河期までさかのぼる。食料の乏しい時代、人間の狩りのおこぼれにあずかることを覚えたオオカミたちがいた。その中から、より警戒心の低い種としてイヌが生まれていく。重要なのは、こうした進化の過程で、人間もまた進化していることである。人間は、他種と暮らすという本来ならばストレスフルであるはずのことができる種になっていったのだ。つまり、人間こそ、もっともよく飼いならされた種なのである。
*1:See also https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20180731/1532975436 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20180803/1533248568 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20180927/1538016252 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/03/19/104339 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/07/21/232927 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/09/16/113655 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/09/21/121043 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2020/03/31/101958 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2020/05/16/022908 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2020/08/19/145235 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2021/01/05/102447 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2021/02/01/084538