ウェンディ・ミッチェル『今日のわたしは、だれ?』(宇丹貴代実訳、筑摩書房)について。「若年性アルツハイマー型認知症の当事者による、わたしの手元を離れていくわたしとの、美しく繊細な対話の記録」。評者の伊藤さんは、「若年性アルツハイマー型認知症」を生きることについて、「不意に自分のなかで迷子になってしまうわたし」、「脳と体が会話していない」と表現している。
心動かされたのは、亡き母や父と再開するシーンである。ウェンディは病気の症状で時おり幻覚が見える。薄明りの中、母が廊下をせかせかと歩いていたり、父がこちらに微笑みかけていたりするのだ。それは病が与えてくれた恵みだ、とウェンディは言う。幻覚はやがて去るだろう。それまでは好きなように見させてほしい。ウェンディにとって、それは紛れもない現実なのだから。
*1:See also https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20180731/1532975436 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20180803/1533248568 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20180927/1538016252 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/03/19/104339 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/07/21/232927 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/09/16/113655 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/09/21/121043 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2020/03/31/101958 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2020/05/16/022908 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2020/08/19/145235