思ったよりも複雑だった

承前*1

世界には狼を悪魔化する文化と狼を崇拝する文化がある。前者の代表は西欧文化であり、最近だと、『アナ雪』*2でも狼は邪悪で兇暴な敵として描かれていた。それは人間的(文化的)秩序を脅かす馴致されざる(un-domesticated)自然(野生)を象徴しているといえる。だから、狼が悪魔化される一方で、馴致された=家畜化された(domesticated)犬は常に善として描かれる。さて、クリス・ルノーの『ペット2』*3。ここでは、犬を初めとする「ペット」だちと、オオカミが対立する。しかし、これは文化/自然という対立ではない。先ず、この映画の舞台である北米大陸には野生のオオカミは存在しない。だから、「オオカミ」といえども飼われた存在である。また、そもそも「オオカミ」というのは日本語訳の効果であって、英語のオリジナルではwolfdogである。wolfdogは普通「狼犬」と訳されるのだろうか*4。狼と犬との雑種で、狼か犬かといえば犬に属する。「狼犬」は悪徳サーカス団の団長、セルゲイに飼われており、セルゲイへの忠誠によって行動する。domesticationの極み、忠犬なのである。セルゲイ(Sergei)というと、どうしても露西亜人を想起してしまう。セルゲイ・エイゼンシュテインとか。因みに、セルゲイのところから救出される虎の子はHuといい、どうしても中国を想起させるのだった。何しろ、中国語で虎はhuと発音されるのだから。

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  • 発売日: 2019/12/04
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