「梅棹資料室」(メモ)

清水有香「梅棹忠夫流 知的生産術を紹介 生誕100年・みんぱくが展示企画」『毎日新聞』2020年5月17日


国立民族学博物館*1の初代館長、梅棹忠夫*2が「生前から整理していたアーカイブ資料約15万点を保管する梅棹資料室」について。
同資料室の責任者、飯田卓氏*3の話を中心に。


梅棹はロングセラーの著書『知的生産の技術』(69年)で、「こざね」と呼ぶカードを使った情報の蓄積法やオープンファイルによる整理術など、創造的な知を生み出すための方法を紹介した。「梅棹さんは自分の仕事を整理し、それを公開するのが研究者の社会的役割と考えた」。そう語るのは、資料室の責任者である同館の飯田卓教授だ。梅棹は知の共有のため、「自分が使った資料とそこから生まれた業績、さらには第三者の反応、その一連の流れを体系的に整理しようとした」。
資料室の主なカテゴリーは、アイデアを記したメモや研究に関する資料類▽論文や著作物などの業績▽その業績を第三者が「引用・紹介・批評・言及した「引紹批言録」――の三つ。「梅棹さんの仕事のユニークな点は、自分が何を見てきたかに加え、どのように考えてきたというプロセスまで記録したこと」と飯田教授。その手法を公開し、第三者がアクセス可能なアーカイブを構築することで「知の生産から流通、消費の流れを自らコントロールしようとした」と指摘する。
知的生産の技術 (岩波新書)

知的生産の技術 (岩波新書)

なお、梅棹生誕100年を記念する「知的生産のフロンティア」展は新型コロナウィルスによる民博の休館のため、9月3日開幕に延期された*4