伊藤幹治

5月9日付けの『毎日新聞』に、須藤健一氏の「多才な文化人類学者」という追悼文があって、そえで伊藤幹治先生*1が3月29日に他界していたことを知った。須藤氏曰く、「伊藤先生は、学生時代に柳田国男にめぐりあい、民博時代を梅棹忠夫とすごし、民俗学民族学というふたつの「ミンゾク」学の境界領域を往来した、多才な文化人類学者であった」。
朝日新聞』の記事;


文化人類学者の伊藤幹治さん死去 柳田国男氏に師事

2016年4月7日13時48分


 伊藤幹治さん(いとう・みきはる=国立民族学博物館名誉教授・文化人類学)が3月29日、心不全で死去、86歳。葬儀は近親者で行った。喪主は妻洋子(ようこ)さん。お別れの会などは未定。

 国学院大で日本民俗学の祖、柳田国男氏に師事。国立民族学博物館、成城大の教授を歴任し、柳田氏の研究や贈与交換論などの分野で業績を残した。08年、南方熊楠賞を受賞。
http://www.asahi.com/articles/ASJ4744XWJ47UCLV005.html

また、國學院大学日本文化研究所;

訃報・伊藤幹治先生

2016年4月8日更新


國學院大學柳田國男民俗学を学び、1969年から74年までの間、國學院大學日本文化研究所主事として研究所の運営に尽力をしていただいた伊藤幹治先生が、去る2016年3月29日に逝去されました。86歳でした。

伊藤先生は、本研究所において「神事習俗の宗教民俗学的研究として―神道と農業・稲作行事に現れた神の観念―」、「近代化と神道」などのプロジェクトを担当し、宗教民俗学、宗教人類学の分野の研究を大きく展開し、後進の指導にも当たられました。

ここに伊藤先生のご学恩に深く感謝するとともに、ご功績を偲び、謹んで哀悼の意を表します。

國學院大學研究開発推進機構長、日本文化研究所所長 井上順孝*2
http://www.kokugakuin.ac.jp/oard/ken04_00013.html

単行本として読んだことがあるのは中公新書で出ていた『宴と日本文化』くらいなのだが(汗)、他のどの著書も読まないうちは死ぬんじゃないぞというものばかり。さて、『毎日新聞』の記事の隣には、橋本勝雄氏の「行動する知識人」と題したウンベルト・エーコ追悼文*3。曰く、「現実の読者は、物語が想定する「モデル読者」に完全にはなれないが、そうなろうとする努力は可能であり必要なのだ、そう考える読書家エーコの読者論は、テキストを読む者にとって、温かい励ましであると同時に、厳しい戒めとして遺されている」。