谷崎潤一郎の家

http://d.hatena.ne.jp/Sevangou/20070114経由で、田中貴子さんのblog*1を知る。
その1月14日付けのエントリーは「谷崎潤一郎旧邸「鎖瀾閣」の危機を憂う」という題*2。「住吉川という川ぞいに、有名な「倚松庵」が移築されていますが、最近、山側の「鎖瀾閣」(さらんかく)が新規復元のうえ公開されることになりました。ここでは、「痴人の愛」が執筆されており、また、谷崎自身のデザインによる建築物ということで、私はかなり楽しみにしていました」ということだが、


ところが、大阪朝日新聞の主催する「関西21スクエア」という、なんというんでしょうか、関西の「文化人」みたいな人たちの集まりの会報(91号)を読んでいたら、武庫川女子大学のたつみ都志さんが、「鎖瀾閣の復元が危機的状況である」というエッセイを書かれていて驚きました。

それによると、周囲の環境上の問題も大きいらしいのですが、私がいちばん気になったのは、「ナオミの家」を併設することにNPO法人の人々が会議で反対したという点です。ナオミの家は、大正末期の文化住宅の典型らしく、それを併設することで谷崎文学への理解を深め、実際に体験してもらおうというものだったようですが、その反対の理由というのが、(ここからたつみさんの文をそのまま引用します)「理由は、『痴人の愛』の家は教育上よろしくない、子供にどう説明すればいいのか、というのだ」というものでした。
笑ったらいけません。こんな時代錯誤な人々がまだいるんです。『痴人の愛』が「古典」化せず、人々の意識のなかに「あの姦淫文学」とかいった感想を残しているのであれば、それはそれですごい影響力でしょうが、おそらく反対した人たちは、ちゃんと本文を読んでおらず、イメージだけで、あるいは映画などで判断したのではないでしょうか。

「教育上よろしくない」、キター!