- 作者: 末木文美士
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2006/04/20
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旅行中に読了する。
先ず目次を写しておく;
著者には既に通史としては『日本仏教史』(新潮文庫)
はじめに 日本宗教史をどう見るかI 仏教の浸透と神々[古代]
II 神仏論の展開[中世]
III 世俗と宗教[近世]
IV 近代化と宗教[近代]主要参考文献
あとがき
索引
- 作者: 末木文美士
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1996/09/02
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また、本書で著者は「〈古層〉」に拘り続ける。しかし、それは「われわれの「くに」が領域・民族・言語・水稲生産様式およびそれと結びついた聚落と祭儀の形態などの点で、世界の「文明国」のなかで比較すればまったく例外的といえるほどの等質性を、遅くとも後記古墳時代から千数百年にわたって引き続き保持して来た、というあの重い歴史的現実が横たわっている」(丸山眞男、pp.1-2に引用)という
- 作者: 丸山眞男
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1998/02/01
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ということで、著者は「歴史を貫く一貫した〈古層〉を認めず、それを歴史的に形成されたものと考える」(p.4)。いわば、〈歴史〉の外側に祀られた〈古層〉を再び〈歴史〉の中へ召喚することといえるだろう。また、著者は〈歴史〉の両義性(語られたものとしての歴史と起こったことどもとしての歴史)に対しても自覚的である。それは「「発見」された〈古層〉と沈澱した〈古層〉は必ずしも等しくない」(p.5)ということを問うているからである。さらに、著者の〈古層〉についての思考が
我々の発想は決して白紙状態で自由に形成できるものではない。我々の現在は過去に制約されている。しかも、我々を制約する過去は必ずしも表層に現われているとは限らない。それは、言説化された思想の奧に潜むものである。そうとすれば、それを〈古層〉と呼ぶことは可能である。しかし、それはアプリオリに歴史全体を通じて同じ発想様式として不変であるとはいえない(p.2)
という私たちの歴史的・社会的生についての現象学的・解釈学的省察と同時的に為されていることに注目しなければならないだろう。それから、「宗教」という言葉それ自体も(具体的に論じられているスペースは小さいものの)本書の重要なテーマとなっている(pp.5-7、226-232)。しかし、この件に関しては、著者の『仏教vs. 倫理』(ちくま新書)
〈古層〉は私個人の過去の経験でないにもかかわらず、私を深層から規定する。それは長い歴史の伝統の中で次第に形成され、沈澱されてきたものである。ある伝統の中に生きることは、その伝統の蓄積を担うことであり、その底に沈められた〈古層〉の規定を無意識裡に受けることになる(p.7)。
- 作者: 末木文美士
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2006/02
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本書について、「宗教史」としての不満を1つ述べれば、「神仏儒三教」と多義的な仕方で関係を持ちつつ生成してきた民俗宗教への言及が少ないことか。