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玉木正之*1「映画は何を残すのか」『スポーツゴジラ』(スポーツネットワークジャパン)43、pp.4-12、2019
市川崑の映画『東京オリンピック』*2を巡るエッセイ。
オリンピックの「閉会式」について;
さらに見事な閉会式。当初は国別に選手が整然と行進する予定だったが、国旗だけの行進に続いて各国の選手たちが入り乱れてどっと競技場に雪崩れ込んできた。このときも崑さんは、国立競技場の客席を走り回って何人ものカメラマンに、「まわせ!まわせ!」と叫んでまわり「カメラマンの力のおかげで素晴らしい映像になった」という(映画とは無関係だが、この機会にこの閉会式の「ハプニング」について記しておきたい。崑さんだけでなく、今もこの閉会式が突発的に起きたハプニングだと思っている人が多いが、じつは当時の組織委員会事務局次長だった松沢一鶴氏が仕掛けたものだった。戦前の水泳日本五輪代表の監督でアジア大会などで式典部長を務めた彼は、東京五輪の開会式を見て戦前同じ場所で見た出陣学徒壮行会(学徒動員)の行進を思い出し、閉会式は軍隊式でない行進にするよう、大会期間中に関係者を説得してまわった。そして本番では選手入場口で日本酒を振る舞ったりしてこの「ハプニング」を成功させたという)。(p.10)