『東京オリンピック』

承前*1

東京オリンピック [DVD]

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しばらく前に、市川崑*2のドキュメンタリー『東京オリンピック』を観た。ただ、市川崑作品といっても、実際は、複数の人々が撮った映像を市川崑が編集し、仕上げをしたもの。撮影には宮川一夫のような映画畑のカメラマンのほかに、細江英公のようなスティルの写真家も参加している。また、谷川俊太郎安岡章太郎もスタッフとして参加している。また、音楽は黛敏郎
いちばん印象に残ったのは、この映画が〈下からの視線〉に拘っていたということ。競技中の選手を下からのアングルで撮るということだけでなく、例えば聖火リレーを見物する群衆。キャメラは群衆の視線のその先を目指すのではなく、聖火を見ようと爪先立ちになった群衆の足下に注目する。あとは、陸上競技のパートがすごく長く、実際に時間を計ったわけではないが、全体の半分近くを国立競技場での陸上競技が占めているのではないかという印象は持った。その反面、その他の種目はほんのちょっとずつ紹介、という感じだった。

ところで、オリンピックの開会式を屋内で行うようになったのはソウルから? 1984年のLAは屋外だったっけ? 2004年の市川崑へのインタヴューによると、開会式当日に雨が降った場合、もう開会式は行わず、翌日からいきなり競技に突入することになっていたという。ということは、当時のオリンピックでは、開会宣言や聖火台への点火を含む開会式は必須のものとは見なされていなかったことになる。