「福袋」の中味

デルタ「インチキだった"江戸しぐさ"を広めようとしていた奇妙な集団 るい」https://milimatomexxx.exblog.jp/28543229/


「トンデモの福袋」*1たる『るいネット』*2はあの「江戸しぐさ*3も取り扱っているという話。まあ、惰性で驚きはするけれど、そんなに大きくは驚かない。
ところで、『るいネット』というのはトンデモ愛好家が趣味でやっているサイトではない。「類設計室」という建築設計事務所をコアとした「類グループ」という企業集団*4によって運営されているサイト。「江戸しぐさ」云々よりも驚いたのは、「類設計室」というのが多くの公共建築や学校建築の設計を受注している設計事務所だということだ。『るいネット』にも、「類設計室」の創業者である岡田淳三郎氏が定期的に寄稿しているようなのだが、一方における着実な建築設計の実践と他方における特異な世界観との両立というのはどう考えればいいのだろうか。一つには、現代社会・文化において建築家が占める特異なポジションと関係している可能性はある。一方では、建築家は、その仕事の性格上、大資本や国家権力との交渉があり、そのことによって、その他のアートやデザインの関係者に対しては、お前らよりもリアルな社会を知っているんだぞという優位性を保つことができる。他方、ビジネスマンや官僚に対しては、お前らにはアートや思想はわからないだろうとマウンティングすることができる。だからなのか、黒川紀章にしても磯崎新にしても安藤忠雄にしても、スケールの大きな話を好み、知的な世間もそれを期待している。もう一方では、対抗文化とかユートピア運動の歴史という文脈で考えなければいけないのかな。例えば山岸会とかと比較可能なのか。社名に使われた「類」という言葉。或る時代の左翼文化を知る人なら、初期マルクス、例えば『経済学・哲学草稿』*5とかで謂う「類的存在」という概念を想起するんじゃないか?

経済学・哲学草稿 (岩波文庫 白 124-2)

経済学・哲学草稿 (岩波文庫 白 124-2)