鬼平逝く

『映画ナタリー』の記事;


中村吉右衛門が77歳で死去、「鬼平犯科帳長谷川平蔵役などで人気を博す
12/1(水) 19:49配信


映画ナタリー

中村吉右衛門*1が11月28日18時43分に心不全のため死去したと、本日12月1日に歌舞伎座が発表した。77歳だった。

1944年5月22日、八代目松本幸四郎の次男として東京都で生まれ、のちに母方の祖父・初代中村吉右衛門の養子となった吉右衛門。1948年に東京劇場「御存俎板長兵衛」の長松ほかで中村萬之助を名乗り初舞台を踏み、1966年に「祇園祭礼信仰記 金閣寺」の此下東吉ほかで二代目中村吉右衛門を襲名した。

1989年からフジテレビ系のドラマ「鬼平犯科帳」に主人公・長谷川平蔵役で出演。人気を博し、9シリーズに加え、スペシャル版が制作された。また「利休」「柘榴坂の仇討」といった映画にも参加している。2011年には人間国宝と称される重要無形文化財保持者に認定。2017年には文化功労者に選ばれた。

このたびの訃報に際して、尾上菊五郎松本白鸚松本幸四郎のコメントが到着。菊五郎は「長い役者人生を全身全霊で頑張られました。再び、一緒に舞台に立てることを願っていましたので残念でなりません」と、白鸚は「今、とても悲しいです。たった一人の弟ですから。幼い頃、波野の家に養子となり、祖父の芸を一生かけて成し遂げました。病院での別れの顔は、安らかでとてもいい顔でした。播磨屋の祖父そっくりでした」と述べた。幸四郎は「叔父は先人を敬い、その芸を体現し、芸術である歌舞伎を進化されてこられました。叔父の芸を永遠のものにするために、教えていただいた我々がその情熱を心に刻み舞台を勤めて参ります」と語っている。

なお葬儀、告別式は親族葬にて執り行う予定とのことだ。
(後略)
https://news.yahoo.co.jp/articles/ca2e030201908f15f0c90899f56deaabc13953e4

鬼平*2を巡っては、『スポーツニッポン』の記事;

鬼平中村吉右衛門さん死去 ネットでは悲痛な声「お頭も…」「粂八、五郎蔵、彦十に会えたかな」
12/1(水) 19:26配信


スポニチアネックス

 歌舞伎俳優の中村吉右衛門(なかむら・きちえもん、本名・波野辰次郎=なみの たつじろう)さんが11月28日、心不全のため東京都内の病院で死去した。77歳だった。東京都出身。1日、松竹が発表した。

 ネットでは、吉右衛門さんが火付盗賊改方長官の長谷川平蔵を演じたフジテレビのドラマ「鬼平犯科帳」ファンからも惜しむ声が多く上がった。同ドラマは1989年7月から、2017年のシリーズ終了まで28年間で150本、劇場版も放映された。

 同ドラマで、密偵の相模の彦十を演じた三代目江戸家猫八さんが01年12月10日、小房の粂八役の蟹江敬三さんが14年3月30日、大滝の五郎蔵役の綿引勝彦さんが20年12月30日に死去。火付盗賊改方では、与力・佐嶋忠介役の高橋悦史さんが96年5月19日、天野甚造役の御木本伸介さんが02年8月5日、同心・沢田小平次の役の真田健一郎さんも08年12月17日に亡くなっている。

 ネット上では「鬼の平蔵、長谷川平蔵が逝く…与力の佐島さんや沢田さん…密偵の相模の彦十 小房の粂八 大滝の五郎蔵親分…迎えに来てくれたのかな…」「きっと、あちらで佐嶋さんや五郎蔵さんや彦十がお頭を待っていなさるよ。寂しいなぁ…」「粂八も五郎蔵も彦十のとっつぁんも言ってるよ…お頭、来るの早えって 本当に悲しい」「ああ。ついに鬼平も逝ってしまった。佐嶋も天野も彦十も粂八も五郎蔵も。みんな逝ってしまった。とても寂しい。めちゃくちゃ寂しい」「これはショックすぎる…粂八や五郎蔵、彦十。皆に会えたかな。軍鶏をつついて、美味い酒を呑んでください」「佐嶋、天野、彦十、粂八、五郎蔵があの世の人となり、ここでお頭も逝ってしまうとは…」など、冥福を祈る声が多く上がった。
https://news.yahoo.co.jp/articles/4ef4f5b46cbb7b7dffa71ba960cbc6296f6e6d7a

また、


スポーツ報知「さらば鬼平…27年にわたり演じた吉右衛門流の長谷川平蔵、人間味あふれるキャラお茶の間に愛された」https://news.yahoo.co.jp/articles/53e248c79a70a35a4d4d2fcb85a2ce38e62304c9



も。
若き日の吉右衛門さんの演技が定着しているのは篠田正浩の『心中天網島*3。篠田の妻でもある岩下志麻が語っている;


岩下志麻 映画デビュー作から吉右衛門さんと共演 尽きぬ思い出「本当に悔しい」
12/2(木) 5:59配信


デイリースポーツ
 
 歌舞伎俳優で人間国宝中村吉右衛門(なかむら・きちえもん)さんが11月28日午後6時43分、心不全のため都内の病院で死去したことが1日、分かった。映画「笛吹川」、「心中天網島」とテレビ時代劇「鬼平犯科帳」で3度、共演した女優の岩下志麻(80)が同日、吉右衛門さんを追悼。歌舞伎界、「鬼平」チームからも悲しみの声が寄せられた。

 岩下は映画デビュー作となった「笛吹川」(1960年)、キネマ旬報ベストワンに選ばれた映画「心中天網島」(69年)で吉右衛門さんと共演し、「鬼平犯科帳」にも95年にゲスト出演しており、「節目節目でやらせていただいた。素晴らしい役者さんでした」と振り返った。

 「笛吹川」では「まだ(お互いに)10代で、私がすごく幼くて、ホームシックにかかっちゃって。いつも染五郎さん(現松本白鴎)と萬之助さん(吉右衛門さん)と、毎晩のように部屋に行ってトランプをして慰めてもらった記憶があります」という。

 岩下の夫・篠田正浩監督にとっても、岩下にとっても、吉右衛門さんにとっても代表作の一つとなった「心中天網島」では、吉右衛門さんが紙屋治兵衛役を、岩下が妻おさん、治兵衛と心中する遊女小春の二役を演じた。

 「素晴らしい口跡と素晴らしい演技で見ほれてしまって。小さい時から培われたしぐさ、立ち姿、本当に私ももう少し見習いたいと思いました」と、吉右衛門さんにホレボレ。ラブシーンの前には吉右衛門さんが「旦那さんが監督でやりにくいな」とぼやき、岩下が「気にしない気にしない!」と応じてラブシーンに入ったという。

 その後も吉右衛門さんの舞台にたびたび足を運び、鬼平のオファーがあった時には「マネジャーに即返事して、やらせていただいた」と即答。久々の再会では「わー、しばらく!」と「人目もはばからず抱き合っちゃいました」。撮影の合間には「ずいぶん昔話をされたりして。お話しするととても楽しい人で、色んな話をしました」と、旧交を温めた。久々に共演した吉右衛門さんは「とにかく風格はあるし、品はあるし、格調は高いし、本当に素晴らしい役者さん」になっていた。

 岩下は「もっともっと生きて、もっともっと素晴らしい舞台を見せてほしかった。もったいないし、本当に悔しいし」と、今後も円熟の舞台をみせられるはずだった吉右衛門さんを惜しんでいた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e380dca120bbe9b4662febbf125b18127ee31ff7

10月15日付の中井寛一氏*4のツィート;