ヒシタではなく

朝日新聞』の記事;


俳優の日下武史さん死去 劇団四季創立メンバー

2017年5月16日19時19分


 劇団四季の創立メンバーで俳優の日下武史(くさか・たけし、本名日下孟〈くさか・たけし〉)さんが15日、誤嚥性(ごえんせい)肺炎で死去した。86歳だった。通夜・葬儀は親族のみで営む。後日、お別れ会を開く予定。

 53年に演出家・浅利慶太さんらと劇団四季を結成。「ヴェニスの商人」「鹿鳴館」といった舞台、「鬼平犯科帳」「剣客商売」などのテレビドラマに出演し、声優やナレーターとしても活躍した。独創的な演劇活動を続けたとして96年に紫綬褒章を受章。14年に東京都港区の自由劇場で上演された「思い出を売る男」が最後の舞台となった。
http://www.asahi.com/articles/ASK5J5QZ8K5JUCLV018.html

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「日下」と書いてヒシタではなく「くさか」と念むということを憶えたのは何時頃のことだっただろうか。その時に「日下武史」という名前を知ったかどうかということも定かではない。
さて、日下さんは『火星のわが家』という映画に出演しているのだが、私はその映画について、

7月28日早朝、大嶋拓監督『火星のわが家』をBSで観る。

 新聞のラ・テ欄に出ていた「ちわきまゆみ」という名前に反応して、観てしまったりしたわけだが、私が感じたのは〈息苦しさ〉である。映画の大半は室内だということもあるかもしれない。しかし、〈夏〉とはいえ、〈エアコンディショニングされた〉夏である。歌手なのに精神にダメージを受けて歌えなくなってしまった鈴木重子、父を巡る(母も絡んだ)姉妹の葛藤、老人介護問題という主題のせいでもない。何故〈息苦しい〉のかといえば、結局のところ、これが〈映像表現〉であるという必然性がないというか、〈映像〉ということに対する作り手のコミットメントが感じられないのである。つまり、〈映像〉としての美しさ・醜さ、さらには〈映像〉としての退屈ささえ感じられない。

 ただ、日下武史は、時々はいそうな偏屈でプチ・インテリな爺を巧みに演じていたと思う。このキャラクターを、人格としてのトンデモさにまで前面化していれば、全く別の映画になったのではないかとは思う。
http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20050801

と書いていたのだった。映画そのものに対してはネガティヴな感想しか持てなかったのに、日下さんの演技に対してのみポジティヴな感想を抱いていたのだった。
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あと、日下さんが出演したドラマ『鳴門秘帖』に関する小谷野敦氏のコメントを引用したことがある;

1977年にNHKで放送された、田村正和主演の一年間のドラマを楽しく観た。語り手古今亭志ん朝、脚本・石山透のコミカルなドラマ。三林京子が見返りお綱、原田美枝子が千絵、江原真二郎お十夜孫兵衛、角野卓造が旅川周馬、山口崇が平賀源内、日下武史甲賀世阿弥岡田裕介の竹屋三位卿、小林麻美のお米といった配役で、ちょっと配役に難があるのだが、そのため原作は今日まで読まずに来た。しかし途中ちょっと飛ばし読みながら読んでみたらやはり面白い。

 吉川英治の文章がいいのである。変幻自在で、ちょっと今こういう文章を書く作家は見当たらないくらいである。何といっても、大詰め、阿波へ渡るあたりが圧巻である。

http://www.amazon.co.jp/review/R3RBLM2I5AIX2G (Cited inhttp://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20111219/1324265873