祟りかも知れない

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ライバル・菅原道真を陰謀で追放…平安時代の“ラスボス”藤原時平はまさに“悪の華” 初役・松本白鸚がビジュアル初公開
9/6(月) 5:02配信


中日スポーツ

 歌舞伎俳優の松本白鸚(79)が東京・歌舞伎座の「十月大歌舞伎」(10月2~27日)第二部で「時平の七笑(しへいのななわらい)」に出演する。初役で藤原時平*1を演じる白鸚は今月初めに撮影したばかりの役衣装姿を初公開、見どころも語った。


 平安時代の政変を舞台にした作品で、藤原時平菅原道真を九州・太宰府に左遷した黒幕として登場する。舞台では時平が道真の味方を装う善人を演じながら、最後に悪人の正体を現していくつもの不気味な笑いを延々と披露する。今回は自民党総裁選や衆院選など政局と重なるタイミングでの上演も興味深い。

 撮影では歌舞伎三大名作のひとつ「菅原伝授手習鑑(てならいかがみ)」*2でも知られる菅原道真公(天神様)ゆかりの「紅梅」「白梅」の枝も使用。今回の上演でも効果的に使われる小道具とともに、白い衣装に黒の烏帽子(えぼし)をかぶった白鸚が登場。表情や顔の角度の微妙な変化で全く異なる顔になり、内に秘めたたくらみや感情がにじみ出ている。緊張感あふれる現場で“悪の華”の雰囲気をかもし出し、陰謀でライバル政治家の道真を追放した“ラスボス”時平を象徴するワンショットに仕上がった。

 白鸚は「昭和57年に国立劇場小劇場で二世(尾上)松緑のおじが活歴ものとして、この『時平の七笑』を復活上演されました。『菅原伝授手習鑑』で敵役として描かれる藤原時平が実はいい人だったのか…というミステリアスな要素を含む役です。今回はその際の上演を参考に、新たな演出でお目に入れたいと思います。お楽しみいただければ幸いに存じます」と話す。

 8月に79歳の誕生日を迎えた白鸚。来年2月には50年以上にわたり演じてきた代表作「ラ・マンチャの男」が最終公演を迎える一方で、4月には史上最年長で「勧進帳」の武蔵坊弁慶を演じ、7月には「身替座禅」山蔭右京を初役で演じるなど精力的な挑戦が続く。

 松竹の関係者も「年を重ねてから脇の役で初役を務める役者はいるが、白鸚さんのように歌舞伎座の真ん中で主役を張る大幹部で、このように初役を務める人はほかにいない」と驚きを隠さない。コロナ禍でもひるむことなく舞台で挑戦を続ける姿は、復活が待たれる実弟中村吉右衛門(77)や後に続く若手俳優たちにも大きな刺激となりそうだ。

 ◆「時平の七笑」 1777(安永6)年に初演された歌舞伎演目「天満宮菜種御供(てんまんぐうなたねのごくう)」の中で、善人の装いで登場する藤原時平が幕切れに悪の片りんを見せる場面が通称「時平の七笑」として人気となった。時平がいくつもの笑いを見せることから“笑い幕”とも呼ばれる。明治時代に九代目市川團十郎が史実に即した「活歴物」として上演し、1982(昭和57)年4月に国立劇場で二代目尾上松緑が復活上演した。関西では十三代目片岡仁左衛門の芸を当代の片岡我當(86)が継承して時平を当たり役としている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/c09756896a61db3e11fdc1dcc0148b2e6749682e


記事には写真も添えられているのだが、それを見る限り、松本白鴎=藤原時平が被っているのは「烏帽子」ではなく冠である。
鈴木牧之の『北越雪譜』によると、越後に「逃入村」という村があり、そこには藤原時平夫妻の墓と伝えらえる塚がある。この村の人たちは、天神様(菅原道真)の祟りによって読み書きができない。村の外に出れば文字を覚えられるが、村に戻ってくると、文字を忘れ、文盲に戻ってしまう。これ、伝承とは逆に、道真というよりは時平の祟りだと思ったのだが、如何だろうか。道真にせよ時平にせよ、とにかく祟りによって、阿呆になってしまうことはあるわけだ。多分、その祟りは中日スポーツの記者にも及んでいるのだろう。