盧泰愚

日本経済新聞』の記事;


韓国の盧泰愚・元大統領が死去 88歳、民主化を宣言
朝鮮半島
2021年10月26日 14:33 (2021年10月26日 16:00更新)



【ソウル=恩地洋介】韓国の盧泰愚(ノ・テウ)元大統領*1が10月26日、ソウル市内の病院で死去した。88歳だった。1987年に大統領候補として民主化を宣言し、88年2月に第13代大統領に就任した。同年のソウル夏季五輪を成功させ、南北の緊張緩和や社会主義国との関係構築に努めた。

93年の大統領退任後は不正蓄財で無期懲役の一審判決を受けた。前任の大統領である全斗煥氏とともに起こした軍事クーデターを巡る罪などにも問われ、最高裁は懲役17年の判決を下したが、金泳三大統領の特赦で釈放された。2002年に前立腺がんの手術を受けた後、健康状態が悪化し寝たきりの生活を送っていた。

盧氏は韓国南東部の慶尚北道(現在の大邱市)で日本統治下の1932年に生まれた。側近として支えた全斗煥元大統領とは陸軍士官学校の同期だった。

87年の大統領選は、野党の分裂に助けられた。有力候補であった金泳三、金大中金鍾泌の3氏の得票が割れるなか、36.6%の得票率で当選した。就任後は金泳三、金鍾泌の両氏と保守連合を組み、巨大与党をつくった。

冷戦崩壊を踏まえ、旧共産圏の国々との積極外交を展開した。旧ソ連や中国と国交を樹立し、北朝鮮とは敵対関係の解消に動いた。91年には南北が国連に同時加盟し、互いの和解や不可侵をうたった南北基本合意書を締結した。

90年5月に日本を訪れた際には、歴史問題を巡る日本側の踏み込んだ発言を求めた。天皇陛下(現上皇さま)が晩さん会で「痛惜の念を禁じえません」と述べられ、盧氏は「韓国国民はいつまでも過去に束縛されていることはできません」と応じた。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM265GQ0W1A021C2000000/

木村幹氏*2曰く、

木村幹
神戸大学大学院国際協力研究科 教授


ひとこと解説
政治学の世界では、ある国の民主化がスムーズに実現される為には、権威主義政権内部の穏健派が、民主化運動に妥協的な姿勢を取るか否かはが重要だ、と言われる事があります。そして、韓国における1987年の民主化で、この穏健派を代表したのが盧泰愚。もし彼が自らの政権維持の為に、運動の弾圧へと傾きかけていた全斗煥にストップをかけていなければ、韓国を巡る状況は更に混乱し、民主化は大きく遅れたかもしれません。全斗煥らによる一連のクーデターに参加し、巨額の不正政治資金を蓄えた疑惑により懲役刑をも受けた盧泰愚の果たした役割をどう評価するかは、今後も韓国現代政治史を巡る大きな問題であり続けると思います。

時事通信

「過ちあったが成果も」 故盧泰愚氏に弔意―韓国大統領
2021年10月27日16時15分


 【ソウル時事】26日に死去した韓国の盧泰愚元大統領について文在寅大統領は27日、「1988年ソウル五輪の成功と北方政策の推進、南北基本合意書の採択など成果もあった」と述べ、冥福を祈った。一方で、80年の光州事件などに触れ「歴史的過ちが少なくなかった」と指摘した。大統領府が明らかにしたもので、文氏は弔問しないという。

 盧氏をめぐっては、旧ソ連、中国との国交樹立など功績を評価する見方もある。半面、79年のクーデターや民主化運動を武力鎮圧し多数の死傷者を出した光州事件への関与から、文政権の支持基盤である革新陣営では否定的な感情が根強い。
 韓国政府は27日、盧氏の葬儀について「国家葬」とすることを決定したが、一部で反対する声も上がっていた。葬儀期間は26~30日の5日間で、30日に告別式が行われる。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021102700677&g=int

See also


Associated Press “Roh Tae-woo, S. Korean general who won democratic election and fostered global ties, dies at 88” https://www.washingtonpost.com/local/obituaries/roh-tae-woo-dead/2021/10/26/176d8f80-365b-11ec-91dc-551d44733e2d_story.html
“Corée du Sud : décès de l'ancien président Roh Tae-woo” https://www.lefigaro.fr/flash-actu/coree-du-sud-deces-de-l-ancien-president-roh-tae-woo-20211026