普選的

山下ゆ*1 「2020年の紅白歌合戦を振り返る」https://morningrain.hatenablog.com/entry/2021/01/01/225426


「紅組」勝ったのか!


もちろん、第2部を見れば紅組のほうが穴のない布陣で純粋な歌唱の点から言うと紅組の勝利で何の不思議もないのですけど、それでも白が勝つのが近年の紅白。

 これはジャニーズ・ファンが内容に関係なく大挙して白に入れるから起こる現象だと考えられ、そのため自分は「お茶の間審査員の廃止」を提言してきたわけですが、今回は拡大されたお茶の間審査員のみの投票で紅組が圧勝しました。

 この謎を解く仮説としてとりあえず思い浮かぶのが、「嵐ファンが中継のときこそ紅白を見たけど、基本的にはラストライブの中継を見ていて紅白には帰ってこなかった」というものですが、もう1つ別の仮説も思い浮かびます。

 それは、今までの登録されたお茶の間審査員とは違い、誰でも参加できるシステムを導入したことで「組織票」的なものが無効になったというものです。

 これは民本主義を唱えて大正デモクラシーの風潮に思想的な基盤を与えた吉野作造の普選論に通じるものです。吉野は政友会が利権などで築いた地盤を破壊するために普通選挙を導入するべきだと主張しました。普選の導入によって有権者が激増すれば組織化や利益誘導が無効になり、健全な競争が取り戻せると考えたのです。

 今回の紅白においては普通選挙の導入に匹敵する、簡易的なお茶の間審査権の拡大によって、ジャニーズというマシーンの支配が打破された紅白として歴史に記録されるのかもしれません。

ところで、今年はAKBが落選ということだったのだけど*2、AKBのファンというのはジャニーズ・ファンとは違って、紅白に紅組勝利には全然貢献してこなかったということなのか。
『紅白』はあいみょんの前くらいで離脱して、村上春樹の年越しラヂオ番組*3を聴くために、スマートフォンに耳を欹てていた。