古井由吉

毎日新聞』の記事;


内向の世代」の作家 古井由吉さん死去 82歳 「杳子」で芥川賞、「栖」「白髪の唄」
2/27(木) 11:29配信毎日新聞


 「内向の世代」を代表する作家で、独自の文体・作風で日本の現代文学に大きな影響を与えた古井由吉(ふるい・よしきち)さん*1が18日、肝細胞がんのため死去した。82歳。葬儀は近親者で営んだ。

 東京都生まれ。東大独文科卒。同大大学院修士課程を修了後、金沢大、立教大で教える傍ら、ブロッホムージルら現代ドイツ語作家の作品を翻訳。1968年から小説を発表し始め、70年に作家専業へ転じた。翌71年、「杳子(ようこ)」で芥川賞を受賞。細密な心理の動きを肉感的な文体で描き、注目を浴びた。

 後藤明生阿部昭黒井千次さんらとともに「内向の世代」と呼ばれ、経済成長期の社会状況と生活感覚を象徴する作家と見られた。古今東西にわたる文学的教養を踏まえ、土地の伝承、説話など民俗学的な要素を取り入れた作風は、文壇の枠を超えた存在感を持った。86~2005年、芥川賞選考委員を務めた。

 長編「栖(すみか)」(79年)で日本文学大賞、「槿(あさがお)」(83年)で谷崎潤一郎賞、「仮往生伝試文」(89年)で読売文学賞、「白髪(はくはつ)の唄」(96年)で毎日芸術賞を受賞。その後も作品は高く評価され続けたが、各種の賞を自ら辞退。国からの褒章等も受けなかった。

 他の代表作に「円陣を組む女たち」「行隠れ」「山躁賦(さんそうふ)」「中山坂」「野川」など。競馬ファンとしても知られ、エッセー集「折々の馬たち」などがある。生前に「古井由吉作品」(全7巻)、「古井由吉自撰(じせん)作品」(全8巻)の2度、著作集が編まれた。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200227-00000039-mai-soci

杳子・妻隠(つまごみ) (新潮文庫)

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いちばん最近(といっても4年前だけど)読んだのは短篇集『辻』。因みに、「内向の世代」というのはそもそも蔑称だった。
辻 (新潮文庫)

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