反イチロー的?

松玉*1開成高校野球部は高校野球の未来を先取りしている」https://matsudama.hatenablog.com/entry/kaiseikoukou-yakyuu


これによると、


開成高校は週に一回しか練習がなく、練習時間も短い。

練習時間はすべて打撃練習にあてがわれます。

開成高校は三振を恐れずとにかく振る。すべて長打を狙う。

で、どさくさに紛れて大量得点する。

開成高校が目指すのは、1-0の接戦ではなく、15ー10のような大味な試合です。

これを読んで、「開成高校野球部は高校野球の未来を先取りしている」だけでなくて、全く別の理由から、米国のメジャー・リーグに接近しているんじゃないかと思った。
思い出したのは、イチローの引退の際の記者会見*2。その中で、イチローは以下のようにメジャー・リーグの変化を嘆いている;

2001年に、僕はアメリカに来てから、この2019年の現在の野球は全く違う野球になりました。
頭を使わなくてもできてしまう野球になりつつあるような。選手はみんな、選手も現場にいる人たちはみんな感じていることだと思うんですけど、これがどうやって変化していくのか。次の5年、10年、しばらくはこの流れは止まらないと思うんですけど。

本来は野球というのは…ダメだな、これ言うと問題になりそうだな…。

頭を使わなきゃできない競技なんですよ、本来は。でも、そうじゃなくなっているのが、どうも気持ち悪くて。
(吉川慧「貫いたのは「野球への愛」 イチローが引退会見で語ったこと【全文】」https://www.buzzfeed.com/jp/keiyoshikawa/ichiro

これについては、新井裕貴氏が以下のように解説している;

イチロー選手が渡米したあたりからデータを重視する、いわゆるセイバーメトリクスというものが浸透してきました。データの運用はフロントだけでなく、選手側も取り入れられるようになった。良い意味では、客観的に選手を判断できるので効率的に強化できる。一方、面白みのない野球につながっていると今、メジャーリーグでも言われています」
その一つの代表例が、2016年後半から始まったとされる「フライボール革命」だ。

データで強化された守備シフトの進化により、ゴロを打つよりもフライを打つ方がアウトになる確率が低くなり、アッパースイングの打者が目立つようになった。

新井さんによれば「フライボール革命」が取り入れられる一因はメジャーの投手の平均球速が上がったことだという。

「メジャーの平均球速は150キロ。日本だったら球速150キロは早い部類ですが、メジャーでは普通です。なので、打者は簡単にはヒットを打てない。だから、博打的な意味で一発長打を狙う環境になった。つい最近ではマウンドを低くしたり、マウンドから本塁までの距離を長くするルール改正を行うとしている。それも単純に打てなくなっているからです」

本塁打が増える一方、三振も増加。2018年のメジャーリーグでは全打者のヒット数を、全打者の三振数が上回った。盗塁や犠打も減少し、大味な試合も増えてきた。

「多くの打者が三振覚悟でフライを上げるような打撃をするように画一化してきています。皆が同じように打って、同じようにアウトになる。それはイチロー選手がおっしゃってた、選手の『考える部分』が振り落とされていることにつながる。これはアメリカでも言われている部分です。アメリカのファンの中でも違和感を感じる声は上がっていますし、私自身も面白みがないなと思う部分もあります」

「データに基づいて効率的。正論ですが、それが野球が面白いかどうかは別問題で、それに対してイチロー選手は違和感を感じたのだと思います」
(徳重辰典「イチローが語った「頭を使わなくてもできてしまう野球」とは何か」https://www.buzzfeed.com/jp/tatsunoritokushige/ichirotalk