誘惑せよ!

松玉*1「つまらない文章の特徴とは?」https://matsudama.hatenablog.com/entry/2019/02/24/225107


「つまらない文章の特徴」を私なりに言えば、隙のない文章ということになる。或いは、色気がない文章、エロくない文章と言ってもいい。たしかジャン・ボードリヤールが言っていたと思うのだけど、誘惑というのは相手に自分の弱点を晒すこと。弱点というのは隙、付け入る隙。隙のない文章を読んでも、なるほど! とか、こりゃ駄目だ! とか、それだけ。その時点で、その文章の役割は終了。忙しいから次行こう、ということになる。隙がある文章の場合、どんどん嵌まっていく。隙というのは実は罠なのだ。隙の先にはさらに隙がある。読み手の欲望を萎えさせることなく(最終的な)結論を先送りしていくというのが面白い文章の条件だろうか。なお、隙を自分でコントロールできるかどうかというのも問題だ。自分では、完璧に、戸締り用心・火の用心したつもりでも、想定外の隙があったということは決して稀なことではないし、逆に自分の誘惑を全然認知しないほど相手が鈍感だということも珍しいことではない。