洗濯機に

『朝日』の記事;


「洗濯機に長女入れて回した」殺害容疑の母、虐待も供述
2010年7月14日4時28分


5歳の長女を殺害したとして、福岡県久留米市、無職江頭順子容疑者(34)が殺人の疑いで県警に逮捕された事件で、江頭容疑者が「長女を何度か洗濯機に入れて回したことがあった」などと事件前の虐待について供述していることが、捜査関係者への取材でわかった。しつけの一環だったと説明しているという。県警は、こうした虐待が殺害につながった可能性があるとみて調べている。

 捜査関係者によると、江頭容疑者は2008年に夫と離婚後、長女の萌音(もね)ちゃんと2人で暮らしていた。そのころから、萌音ちゃんがあいさつをしない、言うことを聞かないなどの理由で平手でたたくなどし、今年5月に現在の住所に引っ越してから虐待がエスカレートしたという。

 萌音ちゃんの口をテープでふさぎ、両手、両足もそれぞれテープで縛って洗濯機の中に座らせ、水を入れて数時間放置したこともあったらしい。さらに、ふたを閉めてテープで開かないようにし、スイッチを入れて回転させたことも数回あったという。

 ほかに、棚を背にして立たせ、両手を広げて手を棚に縛りつけ、両肩にひもをかけてそれぞれに水を入れたバケツをつるして放置したこともあったと供述。江頭容疑者は6月27日、棚に同様に萌音ちゃんを縛り付け、首にひもを巻き付けて殺害した疑いが持たれている。

 江頭容疑者は「普通の子に育てたかった」と供述しているというが、県警は萌音ちゃんの目立った問題行動は把握していない。江頭容疑者の思いこみによる虐待だったとみている。江頭容疑者は普段から酒をよく飲み、朝から飲酒することもあったらしい。
http://www.asahi.com/national/update/0713/SEB201007130066.html

「洗濯機」に人間を入れるというと、広末涼子が出た映画『バブルへGO!!』*1を思い出す。でも、この映画でも絶対に真似しないで下さいという表示があった筈。さて不謹慎とは思うのだが、「棚を背にして立たせ、両手を広げて手を棚に縛りつけ、両肩にひもをかけてそれぞれに水を入れたバケツをつるして放置した」とか、「虐待」の仕方が凝りすぎている。そういうことに頭を使う暇があるなら、もっと楽しいことがあるのではないかとも思ってしまう。そういう意味で、「通常の虐待の範疇を逸脱している」*2。というか、むかついたから抓る、ぶつ、蹴るといった反射的行動ではなく、意図的な行為なのだ*3。但し、その意味はわからない。彼女が自分のそうした振る舞いの意味について考えていたのかどうかもわからない。「しつけの一環」ということで、その意味では、彼女にとって主観的には目的合理的な行為だったのかも知れないが、目的達成のための効率的手段を考慮することと行為の意味を考慮することとは違うだろう。何故こういうことになったのか。考えられる要素は2つある。先ずは自尊心、自己への配慮の欠如或いは不足。如何にして自己への配慮が剥奪されてしまったのかは、そのライフ・ヒストリーがわからないのでわからない。次に、子どもという〈異人〉と共存するストレス*4。そのストレスに誰のサポートもなく、孤独に耐えなければならないこと。上の記事には、加害者の親とか親戚、或いは友人は登場しない。そういう人間関係も剥奪されてしまったのか。ということで、加害者を徒に悪魔化することは勿論のこと、逆に福祉行政とかの不備を糾弾するという議論の仕方にも違和感を覚える。「親の世代が、学校の授業から「道徳」がなくなり、かつ教師の威厳がなくなった学生生活を送った結果なんでしょうか」*5ということを吐く人間には「洗濯機」に入ってろというしかないけれど。