よんばば*1「牛丼はぎゅうどんで豚丼は・・・」https://hikikomoriobaba.hatenadiary.com/entry/2024/06/10/141612
「豚丼」や「豚汁」はどう訓ずるかという問題。
個人的には「 豚丼」はブタドン、「豚汁」はどちらかというと、トンジルかな。でも、
ボボ・ブタジル
とはよく言うよね。2000年代初頭のBSEが席捲した頃、或るTV番組で北海道某所のご当地料理として「豚丼」というのが紹介されたことがあって、当時北海道に在住していた幾人かの先生方にそういうご当地料理知ってますか? とお伺いを立てたところ、何れの方も、知らないよ、と答えたということがあった。まあ、豚肉とご飯というと、熱いご飯の上にチャーシューを乗っけて食べるのがいちばん簡単で美味しいと思うのだけど、これも北海道某所のご当地料理であるらしい。名前はチャーシュー丼というのか豚丼というのかは忘れたけれど。因みに、今、叉焼と漢字で書かずに、チャーシューと片仮名で書いたのは、日本でよくラーメンの上に乗っているチャーシューというのは広東料理の叉焼とは、製法においても味付けにおいても全く別の食べものだからだ。
なお、中国語で英語のpigに対応する動物は何よりも猪であって、「豚」という漢字から中国人が先ず連想する動物はイルカ(海豚)だと思う。
2014年の上海。「豚骨拉麵」が”Dolphin bone ramen”と英訳(!)されている*2。
「豚」の訓読みは「ぶた」ということになっているけど、「ぶた」の語源もよくわからないようだ。日本語において「ぶ」というのは乱暴、暴力的なニュアンスを付加するものである。ぶん殴る、ぶっ壊す、ぶっ飛ばす、ぶつける、など。或いは仏恥義理もそうだろう。でも、同族である猪(イノシシ)はともかくとして、豚はそのように暴力的な動物とされていたわけではあるまい。また、日本人が豚に親しむようになったのはそんな古いことではない。江戸時代には、薩摩では琉球の影響で豚を飼い、豚肉を食べていた。また、長﨑の近郊では、和蘭人や中国人向けに豚が細々と飼われていた。それくらいなのでは? そんな時代に「ぶた」という言葉が既にあったのだろうか? 日本と縁があって、古くから豚を文化に組み入れている社会としては、琉球がある。その沖縄では、pigを「ウヮー」というらしい*3。
*1:See also https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2020/05/02/152802 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2021/11/26/103540 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2022/01/24/111914 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2022/09/13/093212 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2023/10/10/170353 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2023/10/15/141943
*2:See https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20140722/1406006901
*3:Eg. 沖縄こどもの国「島ウヮー(沖縄在来豚)」https://www.okzm.jp/animal_book/398/