「荻外荘」(メモ)

「杉並区指定有形文化財 荻外荘近衛家関係資料」『東京の文化財』(東京都教育庁地域教育支援部管理課)129、p.6、2021


杉並区荻窪2丁目にある「荻外荘」(旧近衛文麿邸)について。


荻外荘は、大正天皇の侍医頭や東京帝国大学医学部長などを務めた医師・入澤達吉*1荻窪別邸「楓荻荘」として昭和2(1927)年に建てられました。設計は、築地本願寺の設計などで知られる伊東忠太が担当しました。同邸宅は昭和12(1937)年、五摂家筆頭の家柄で、内閣総理大臣を務めていた近衛文麿*2に譲渡され、近衛の後見人でもあった西園寺公望*3により「荻外荘」と名付けられました。
荻外荘は、昭和期の政治の転換点となる重要な会議が行われた場所として平成28(2016)年、国史跡に指定されました。
また、「荻外荘」に残された「荻外荘近衛家関係資料」が2017年に「杉並区有形文化財」に指定されている。

1. 荻外荘関係史・資料は、漆器類などの美術工芸品や書画絵画類、生活用具など多岐に渡る資料が含まれ、大正末から昭和前期の華族階級の生活様式を窺える資料です。
2. 近衛文麿・通隆関係資料は、近衛文麿の長男文隆の中国赴任から入営までの史料や、ソビエト抑留時の近衛文隆の動向を伝えた吉田茂差出の書簡などが含まれます。
3. 書籍資料は、昭和前期の国内外の政治政策。外交に関する書籍が多く、近衛の自筆メモが多数書き込まれており、近衛の政治思想などが窺えます。
なお、この記事には、荻外荘は2024年の一般公開を目指していると記されている。