昔ながらの手口

共同通信の記事;


中国、ノーベル作家莫言氏を黙殺
社会の暗部描き、「売国奴」扱い


2021/7/19 09:47 (JST)

 【北京共同】中国共産党の指導下にある中国作家協会幹部が公表した過去100年の中国文学に、ノーベル文学賞作家、莫言氏(66)が選ばれず、「黙殺された」と話題になっている。国内では、莫言氏が中国社会を醜く描き国外で評価を得たとして“売国奴”と中傷する声も強まる。党への礼賛しか認めないゆがんだ愛国主義が文学界にも影を落としている。

 作家協会幹部は6月、今年の党創建100年に合わせて中国を代表する文学者や作品を振り返る文章を中国紙、光明日報に掲載。2012年に中国国籍の作家として初めてノーベル文学賞を受賞した莫言氏には全く言及しなかった。
https://nordot.app/789650864156246016

「中国作家協会幹部」によるオリジナルのテクストを見ていないので何ともいえないのだが、莫言のほかに誰が「黙殺」されたのかは気になる。ただ、所謂毛左などの莫言に対する評価というのは一貫してそんなものだったと思う。因みに、ノーベル賞受賞当時、莫言は体制に阿った発言などにより、リベラル派(人権派)の批判対象にもなっていた*1。また、1990年代、張藝謀や陳凱歌などの所謂第五世代の映画作家たちも同じ理由でバッシングされていた。王小波もそうじゃなかったか? またこれは中国だけの問題ではない。『万引き家族*2がカンヌでパルム・ドールを受賞したとき、百田尚樹をはじめとするウヨどもが殆ど同じ理由で是枝裕和をバッシングしていた筈だ。なお、莫言は中国の読書人にとっては、伊坂幸太郎に匹敵する人気作家であり続けている。
温雪亮氏曰く、

馬場公彦*3「俗物だけど、きらめきがある ノーベル賞作家・莫言の新作に登場する魅力的な人々」https://globe.asahi.com/article/14158859


莫言の短篇集『晩熟的人』について。また、王国維『人間詞話』と梁実秋『可能這就是人生吧』についても。