寧ろ「インフルエンザ」を心配しろ!

承前*1

岩永直子*2新型コロナウイルス どれぐらい警戒したらいいの? 感染症スペシャリストに聞きました」https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/ncov2019-okabe


感染症の専門家である川崎市健康安全研究所所長の岡部信彦氏*3へのインタヴュー記事。
少し切り抜き;


ーー流行の封じ込めは可能なのでしょうか?


感染症に関して完全な封じ込めは無理でしょうね。ただ、重症者を小規模で抑える、流行のレベルを下げることは可能かもしれません。早く重症者を見つけることが鍵を握ります。

新型インフルエンザは普通の迅速診断キットが応用できましたが、今回のコロナウイルスはそのようなツールはまだありません。新型インフルエンザの対策と同じスタイルで、軽症者も全て検査して封じ込めようとすれば、ものすごくマンパワーを使って、お金を使うことになり、非現実的です。

軽い人を警戒するために、指定医療機関は長蛇の列ができ、患者さんも医療従事者も疲弊します。そうなると肝心の重症者を見落とすことにもなりかねず、軽い人や症状のない人をしらみつぶしに調べようとするのは、マイナス要素が大きくなります。


ーーインフルエンザや麻疹なども人が死ぬこともある感染症です。それらの感染症と比べたら、私たちはどれぐらい怖がるべきなのでしょう。


致死率から言えば、自然に放っておいたら麻疹(はしか)も数パーセントの致死率です。でも麻疹はワクチンがあるからほとんど感染しないですむようになっています。インフルエンザは毎シーズン1万人程度の死亡があると言われています

新型コロナウイルスをこれほど怖がっているにもかかわらず、いまだに麻疹や風疹のワクチンをうたない人がいるのは不思議なことです。防ぐ手段があるのに...です。

今、日本で問題となっている風疹の予防接種も強くお勧めしていますが、多くの大人の男性にあまり関心をもたれてないようです。妊婦に感染したら、おなかの赤ちゃんに重大な影響を及ぼすにもかかわらず、です。

日本では、2012〜13年の流行で目や耳や心臓に障害をもたらす先天性風しん症候群の赤ちゃんが45人も生まれました。その流行のもとになっているおじさんたちが、MR(麻疹・風疹)ワクチンをうたずに「コロナウイルス大変だ!ワクチンはないのか!」と言っているわけです。おかしな話です。

ーー怖がり方がいびつな印象を受けるのですね。


新興感染症の報道は常にセンセーショナルですからね。毎日報道されるのは、SARSやMERSの時と同じですが、それに惑わされて、足元にあるリスクを忘れてはいけません。

今、日本で普通に歩いている人は、新型コロナウイルスにかかる心配よりも、インフルエンザにかかって会社を休む可能性の方がずっと高いわけです。それでもワクチンをうたない人はいます。


ーー我々メディアもデマ打ち消しをしているのですが、先生方のような専門家が素早く対応してくださるとありがたいです。


私はTwitterをやっていないんです。忙しい時に色々な雑音が入ってきて、それに返事を書いていると、大切な仕事ができなくなりますから。

新型コロナウイルスが注目され始めた頃、あるメディアの取材に、「正しい情報をつかんでください」と書いてもらったんです。すると、「正しい情報ってどこにあるのかわからない」という批判がありました。

正しい情報というのは、やはり公的な機関が責任をもって出している情報です。日本なら、厚生労働省国立感染症研究所ですね。時間的には少し遅れるかもしれませんが、そこがより正しい情報を出すはずです。

逆に一番危ないのは、無責任に匿名でSNSで流されているような情報です。責任の所在や出典をはっきりさせずに書いている情報はまず信じない方がいい。

さて、厚生労働省によるQ&Aが出ている;


新型コロナウイルスに関するQ&A」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html