『ハフィントン・ポスト』(『朝日新聞』)の記事;
2018年04月11日 17時58分 JST | 更新 2018年04月11日 17時58分 JST
「はしか」の感染、沖縄で拡大 感染源は… 「日本のどこでも起きうる」と専門家が警鐘
家庭内や職場でうつったとみられる「三次感染」の疑いのある患者も出始めた。
264朝日新聞社提供
台湾から「輸入はしか」沖縄で感染拡大 「三次感染」も
沖縄県ではしか(麻疹)の感染が広がっている。10日時点で患者は計38人に上る。国内のはしかは予防接種の普及で「排除状態」とされているが、今回は台湾からの旅行者が感染源の「輸入はしか」だった。旅行者から感染した人から、さらにうつる「三次感染」とみられる患者も出始めた。専門家は「訪日客が増える中、日本のどこでも起きうる」と警鐘を鳴らす。
沖縄県地域保健課によると、最初に感染が確認されたのは3月下旬。台湾から旅行でやってきた30代男性が19日に発疹などの症状で県内の医療機関を受診。検査の結果、20日にはしかとわかった。男性は17日から3日間、県内を旅行しており、立ち寄った商業施設や飲食店の従業員や客を中心に感染が広がった。
県内で患者が出たのは4年ぶり、感染者数が2桁に上ったのは10年ぶりだ。4月7日以降は、旅行者の男性からうつった「二次感染」の患者から、さらに家庭内や職場でうつったとみられる「三次感染」の疑いのある患者も出始めた。
はしかは40度前後の高熱や発疹が出るウイルス性の感染症。空気、飛沫(ひまつ)、接触で感染し、死亡例もある。かつては国内でも年間10万〜20万人の患者がいたとみられる。2006年にワクチンの定期接種が1回から、1歳と就学前の2回に増え、15年に流行を抑え込む「排除」を達成した。
しかし、今回のように海外からの渡航者や帰国者がウイルスを持ち込む可能性がある。昨年もインドネシアから帰国後に山形県内を訪れた男性がはしかを発症。県外にも広がり50人超の感染者が出た。沖縄では、38人の患者のうち12人はワクチンの接種歴が「なし」あるいは「1回」、23人は打った記憶がないなど接種歴が「不明」だった。
今後県外へ感染が拡大する可能性もあり、沖縄県は沖縄に訪問後にはしかに似た症状が出た場合は医療機関に相談するよう呼びかけている。感染症に詳しい岡部信彦・川崎市健康安全研究所長は「沖縄の例をひとごとと思わず、ワクチンの2回接種で自分の身を守り、他の人へ感染を広げないようにして欲しい」と話す。(水戸部六美)
(朝日新聞デジタル 2018年04月11日 17時14分)
https://www.huffingtonpost.jp/2018/04/11/hashika_a_23408378/
今村顕史*1「沖縄での麻疹(はしか)の流行 〜なぜ流行は繰り返されるのか?〜」https://www.buzzfeed.com/jp/akifumiimamura/hashika-okinawa
曰く、
また、
今、沖縄での麻疹(はしか)の流行が大きな問題となっています*2。その流行は、台湾から沖縄へ観光旅行にやってきた、たった1人の外国人から始まりました。麻疹を発症した旅行者は、自分の感染に気づかず観光地を移動している間に、ホテルや飲食店などで近くにいた人たちも次々と感染させてしまいました。そして、このように感染した人も、また別な人へと麻疹をうつしていくという感染の連鎖が続いています。4月14日までに麻疹と診断された患者数は、すでに52人まで増加しています。
さらに、沖縄へ旅行した10代日本人男性が、帰省先の名古屋市で麻疹と診断されました。この男性は、沖縄に4月上旬まで旅行した後、埼玉県内の学校に数日間通い、発症後に東京・品川から新幹線で名古屋まで移動したそうです。
関西空港の従業員が集団で麻疹に感染したのは2016年夏のこと*3。また、2007年の春に東京で麻疹が流行し、東京の大学が次々と休講になった*4。
麻疹は「空気感染」する、非常に感染力の強いウイルス感染症です。インフルエンザなどの「飛沫感染(ひまつかんせん)」では、くしゃみや咳などで水分を含む重く大きな粒子が飛ぶため、2m以内でほとんどの粒子が床に落ちてしまいます。しかし、「空気感染」では小さく軽い粒子が、ふわふわと空中を長く浮遊することで、同じ部屋の中にいるだけでも感染する可能性があります。麻疹は、われわれが身近に経験する一般的な感染症の中でも、最も感染力が強いウイルス感染症なのです。
10〜12日程度の潜伏期間を経て、麻疹を発症した初期には、鼻水、喉の痛み、咳などの、風邪のようなごく軽い症状だけの時期があります。
この時期には、典型的な高熱と発疹が出現していないため、たとえ感染症の専門医師であっても、症状だけで麻疹を強く疑うことは難しいといえます。
しかし麻疹は、このような軽い症状の時期から、すでに強い感染力をもっています。このため、本人も自覚のないまま、他の人に感染を広げていってしまいます。
*1:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160908/1473345634
*2:See 沖縄県保健医療部地域保健課「麻しん(はしか)患者の発生について」http://www.pref.okinawa.jp/site/hoken/chiikihoken/kekkaku/mashin.html
*3:See http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160908/1473345634 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160916/1473992274
*4:See http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070518/1179463556 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070522/1179766035