「むのたけじ地域・民衆ジャーナリズム賞」

岩永直子*1「ジャーナリズムはくたばったか? 抵抗者であり続けたむのたけじの今も生きる言葉」https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/munotakeji-kotoba


2016年に101歳で他界したジャーナリスト、むのたけじ*2の軌跡。また、ジャーナリストの清武英利*3、たけじの次男で生物学者の武野大策氏がむのたけじを語る。そして、「 むのたけじ地域・民衆ジャーナリズム賞」の創設。


そして、2018年6月12日、「むのたけじ地域・民衆ジャーナリズム賞」が創設された。

晩年、さいたま市で暮らしていたむのさんは、市民が運営する「埼玉・市民ジャーナリズム講座」で講演した縁がある。運営メンバーから、「むのたけじ賞」を作ってむのさんの精神を受け継ぎたいと声が上がり、むのさんの影響を受けたジャーナリスト、鎌田慧さん*4佐高信さん*5らが呼びかけ人となった。

むのさんの「自己責任の全体重をかけた、自己を賭けた発言」に影響を受けたという鎌田さんは、「地域で新聞を作ってそこから民主主義を広げていく」という「たいまつ」のあり方こそが、「民衆ジャーナリズム」だと言う。

「民衆ジャーナリズムは草の根から、いろんなものを吸い上げ、流れていく水平運動。むのさんの精神も水平運動であり、市民とジャーナリストが一緒にそういう精神の賞を作り、日本のジャーナリズムが力を持っていくための媒介にしたい」と語った。

佐高さんは、「8月15日に自分の言論に責任を感じて辞表を出した記者が一人でもいたということは、日本のメディアを救った」と語り、「むのたけじは自分の言論に生き方を賭けた。残念ながらそういうジャーナリストはこの国にはほとんどいない。むの精神を受け継ぐ者出でよ」と呼びかけた。

賞は、地域に根ざして人々の生活向上に貢献する発信や活動をしてきた個人・団体が対象になり、(1)紙を媒体にする、新聞、出版、地域紙など(2)それ以外のネットメディア、 SNS、映画、演劇、美術などの2部門が対象となる。2017年10月〜2018年10月に発表されたものが選考対象になる。

また、昨年の『毎日新聞』の記事;

むのたけじ


ジャーナリスト
むのたけじさん」ジャーナリズム賞創設
毎日新聞2017年8月31日 15時00分(最終更新 8月31日 15時24分)


埼玉の有志、18年夏に発表 草の根報道対象に
 反戦を訴え続けたジャーナリストで、昨年8月に101歳で亡くなった故むのたけじさん(本名・武野武治)の名前を冠したジャーナリズム賞が創設される。戦後に秋田県で民衆の立場から週刊新聞の発行を続けた功績を踏まえ、草の根の報道に取り組む個人や団体を表彰する。晩年を過ごした埼玉県で来年8月に開かれる三回忌の集いで受賞者が発表される予定で、関係者は「むのさんの精神を受け継ぎたい」と意気込む。

 むのさんは朝日新聞記者だった戦時中、東南アジアの従軍特派員を務めた。1945年の敗戦を受け、戦争に協力した責任を感じて退社。48年に郷里の秋田県で週刊新聞「たいまつ」を創刊し、地域の農業問題から国際情勢まで独自の視点による記事や論評を載せた。

 78年の休刊後も反戦・平和やジャーナリズムについて講演や執筆活動に取り組んだ。晩年は、がんの治療などのため、さいたま市に住む次男の武野大策(むの・だいさく)さん(64)と同居していた。

 賞の創設を計画しているのは、むのさんと親交を深めてきた埼玉県内の市民有志。2014年からジャーナリズムやメディアのあり方を考える「埼玉・市民ジャーナリズム講座」を開き、13年と15年にむのさんを招いて講演会を開催した。今年8月22日には同市内で大策さんらを交えて一周忌の集いも開いた。

 賞の創設に向け、年内に実行委員会を発足して選考基準を詰め、年明けから候補者の公募や選考を本格化する。表彰の対象は新聞や雑誌などの活字メディアだけではなくラジオ、テレビ、インターネットなども想定。選考は学識経験者やジャーナリストに協力を呼びかける。

 準備を進める武内暁(さとる)さん(69)=さいたま市中央区=は「むのさんは、民衆の目線で地域の問題を掘り起こし、戦争のない世界を願い、権力に対してペンを執り続ける大切さを教えてくれた。むのさんの『たいまつ』精神を受け継ぎたい」と話す。

 大策さんも創設に協力する考えで「東日本大震災以降、地域に根差したメディアが生活の輪として見直されている。もともとメディアは地域に根差したものから出発しており、原点に立ち返る良い動きではないか」と期待している。【木村健二】
https://mainichi.jp/articles/20170831/k00/00e/040/312000c

See also http://www.kikanshi-nw.or.jp/notice/#data446