滑る人たち

野口博之*1「富士山「1キロ滑落」からの生還劇 絶体絶命免れた人々は、何が「違った」のか」https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191105-00000011-jct-soci


最近、富士山で「ニコニコ生放送」の配信中に800米滑落して遺体で発見された男がいたけれど、富士山から滑落する人というのはけっこうおり、掠り傷程度で済んだ人、重傷を負った人、命を落とした人と、様々である。また、驚いたのは、滑落の原因として、「突風や強風」にあおられて、というのが多いこと。


筑波大学のサイト上に掲載されている水理実験センター報告の第2号(1978年)では、林陽生、泉耕二両氏の「富士山遭難記録表」が大学スタッフの切り抜いた新聞記事12年間分(1964~75年)の滑落例などをまとめている。

 それによると、1969年3月23日には、9合目から2キロ下の5合目にある山梨県側のツバクロ沢まで2人が滑落した。1人は死亡し、1人は重体だった。その後の生死は記事だけでは分かっていないようだ。なお、1キロ滑落してケガで済んだケースは、68年と70年の2例あった。

 12年間で滑落事故は50件あり、雪崩が多い他の山とは対照的に、突風や強風によるケースが最も多い。また、冬山訓練が度々行われる11月の事故が飛び抜けて多かった。御殿場口や吉田口から山頂に向かうルートは、「ツムジ地帯」「突風地帯」と呼ばれる地点が点在しており、航空機の墜落事故も多いという。男性が滑落したのは、その中間点ぐらいの山頂付近だった。