水島宏明*1「「イッテQ」”やらせ”で文春砲」https://blogos.com/article/337198/
『週刊文春』によれば、NTVの人気番組『世界の果てまでイッテQ!』に「やらせ」の疑惑があるのだと。
「週刊文春」編集部「日テレ「イッテQ!」にラオス「橋祭り」やらせ疑惑」という記事によると*2、
NTVの反論;
2007年に放送を開始した日本テレビの看板番組「世界の果てまでイッテQ!」。番組きっての人気企画である「世界で一番盛り上がるのは何祭り?」にやらせの疑いがあることが「週刊文春」の取材でわかった。同企画は、芸人の宮川大輔(46)が青いハッピにハチマキ姿で世界の過激な祭りに突撃し、これまで参加した祭りは100を超える。問題となっているのは5月20日放送分の「橋祭りinラオス」。実際の放送では、自転車で“橋”に見立てた全長25メートルの板を渡り、スピードなどを競う“祭り”だと紹介。4月8日にラオスの首都ビエンチャンで行なわれ、宮川が“祭り”に参加した一部始終が放映された。
だが、ビエンチャンに赴任する日本人の駐在員は異議を唱える。
「ラオスで『橋祭り』なんて聞いたことはないし、周囲のラオス人に聞いても誰も知らない。そもそもこの地域で自転車といえば、外国人観光客がレンタサイクルに乗るぐらい。この『橋祭り』は不自然な点が多すぎる」
ラオス国内の観光イベントを管轄する、情報文化観光省観光部のブンラップ副部長は、「週刊文春」の取材に次のように語った。
「こうした自転車競技はラオスには存在しない。今回(の「橋祭り」)は日本のテレビが自分達で作ったのではないですか」
また同番組の取材申請を許可した情報文化観光省マスメディア局の担当者も「日本側の働きかけで実現した」と断言する。
「2人の役人が撮影に立ち会いましたが、(「橋祭り」は)ラオスで初めて行われたものです」
さらに、AbemaTIMES曰く、
日本テレビ広報部は「週刊文春」の取材に次のように回答した。「橋祭りはメコン川流域などでかねてから行われている催しで、地元のテレビ局などでも取り上げられております。今回は現地からの提案を受けて参加したもので、番組サイドで企画したり、セットなどを設置した事実はありません」
この「文書」とは、
AbemaTIMES2018年11月08日 14:06日テレが「イッテQ」への文春砲に反論
きょう発売の『週刊文春』が、日本テレビの人気バラエティー番組『世界の果てまでイッテQ!』の企画に"やらせ"の疑いがあると報じた問題で、日本テレビが見解を文書で発表した。
『週刊文春』の記事では、今年5月20日に放送された「橋祭りinラオス」について、情報文化観光省観光部のブンラップ副部長のコメントや現地駐在員の話として、このような祭りは存在しなかった可能性と指摘している。これに対し日本テレビは「情報文化観光省には、番組の趣旨を十分に説明し、正式な手続きを経て当局の許可をいただき、撮影にもご協力をいただきました」と説明、その上で「企画は、現地からの提案を受けて成立したもので、番組サイドで企画したり、セットなどを設置した事実はなく、また、番組から参加者に賞金を渡した事実もございません」」と反論している。その一方「今回放送した会場での開催実績を十分に確認しないまま作業を進めてしまいました。結果、この会場で初めての開催であった「橋祭り」を、放送では毎年行われているかのような、誤解を招く表現となりました」と謝罪した。
https://blogos.com/article/337368/
日本テレビ放送網株式会社「「週刊⽂春」(11 ⽉ 15 ⽇号)掲載「世界の果てまでイッテQ!」の記事に関する⾒解」https://www.ntv.co.jp/ntv_notice/pdf/20181108.pdf
のことか。これに関しては、Oricon News「日テレ『イッテQ!』“やらせ疑惑”報道を否定 「誤解を招く表現」あったと謝罪も」も参照のこと*3。
文春側の再反論は、「【週刊文春コメント全文】日テレ“イッテQ疑惑否定”に「証言を得ている」」という『スポーツニッポン』の記事に全文引用されている*4;
「橋祭り」が実在するのかどうか。その真偽は直ぐに判明するだろう。先ず、『地球の歩き方』とかLonely Planetといった代表的な旅行ガイドにその「祭り」が言及されているかどうかどうかを調べればいい。また、この全民SNS時代、もし実在するなら、SNSで言及したり映像をアップロードしたりする人も少ない筈。
日本テレビが発表した見解によれば、「番組サイドで企画したり、セットなどを設置した事実はなく、また、番組から参加者に賞金を渡した事実もございません」とのことです。しかし、「イッテQ!」のエンドロールに、「海外コーディネーション」としてクレジットされているM社の社長は、「週刊文春」の取材に対し、ラオス「橋祭り」を自ら企画したことを認めています。また、タイ人スタッフから、セットの設営はM社からの依頼によるものだとの証言を得ています。さらに、「賞金」についても、M社社長は参加者の少年たちへの「協力費」名目で金銭の支払いを認めており、少年たちからは「賞金」や自転車などを受け取ったとの証言を得ています。
したがって、番組で放送されたラオス「橋祭り」が、これまでラオス・ビエンチャンの同地で開催されたことはなく、「イッテQ!」放送のために、番組サイドが企画、セットの設置にかかわって作られたものであることは、11月8日発売号の記事で報じた通りと考えています。
「週刊文春」編集部
水島氏は
と述べている。ただ、NTVは1970年代には「やらせ」問題に対して、ラディカルで前衛的なアプローチをしていたのだった。但し、その番組を制作したのはNTVではなく「テレビマンユニオン」だったけれど。浅田彰氏*5は「ふたたび「モーレツからビューティフルへ」?-東京ステーションギャラリーの冒険」という20141年のエントリーの中で、1973年に放映された紀行番組『遠くへ行きたい』*6のエピソードに言及している*7。レポーターを務めていたのは伊丹十三*8。伊丹は長野県の伊那谷の或る村で偶々「結婚式」に出会う。しかし、番組の終わりの方で、彼はその「結婚式」が嘘だということをばらしてしまう。そして、嘘は放送しない方がいいのか。でも、村人たちが嘘を承知で村中総出で誠心誠意一芝居打ってくれたことは現実だ。その「賛否」を判断するのは視聴者だというふうに問いかける。2018年は人々のTVに対するスタンスにおいて、45年前よりも退行しているということは誰しもが認めざるを得ないのではないか。
どちらかと言えば日本テレビは脇が硬い会社だといえる。2008年の「真相報道バンキシャ!」で岐阜県で裏金作りが継続しているという報道をめぐって、記者らを欺いて虚偽の証言をした人物のインタビューをそのまま報道してしまい、当時の社長が辞任する事態にまで至っている。そうした過去の辛い経験で懲りているからこそ、他の民放キー局に比べると、「やらせ」「捏造」などの事件は比較的少ない。
See also
朝日新聞「「イッテQにでっち上げ」文春報道 日テレは8日に見解」http://news.livedoor.com/article/detail/15562558/
文春とNTV双方の言い分をフォローするという記事なのだけど、、「イッテQ!」のエンドロールに、「海外コーディネーション」としてクレジットされているM社」の朝日に対するコメントは、NTV側に少し有利になっているのかな;
番組内で「海外コーディネーション」を担当したと表記のあった会社の代表は7日夕、朝日新聞の取材に応じた。ラオスでの番組の撮影をサポートしたことを認めた上で、「自転車で水上にかけた橋を渡る祭りは、ラオスでは以前から、村単位などで行われている。全くないものをでっちあげたわけではない」と説明した。障害物として番組に登場した玉については、「テレビで紹介されることになり、祭りを盛り上げ、番組をおもしろくするために、ラオスの美術会社と我々が作ったものだった。撮影前に日本テレビ側にも報告していた」と語った。
野口博之*9「「そんなに目くじら立てなくても」 「やらせ疑惑」イッテQを擁護する視聴者たち」http://news.livedoor.com/article/detail/15567289/
坂下朋永「「イッテQ」文春砲! 宮川大輔インスタにはコメント次々...中身は?」http://news.livedoor.com/article/detail/15565517/
『東京スポーツ』の記事は全文貼っておく;
「イッテQ!」ヤラセ疑惑をフジテレビが40分にわたり徹底追及 安藤優子「ちょっと無理があった」
2018年11月8日 15時34分 東スポWeb
8日放送のフジテレビ系「直撃LIVE グッディ!」は日本テレビ系の人気番組「世界の果てまでイッテQ!」で起こったヤラセ疑惑について40分間にわたり検証した。
5月に放送されたラオスでの「橋祭り」について、週刊文春が「祭りはデッチ上げ」と報じてヤラセ疑惑が持ち上がった。
日本テレビは同日、報道各社にファクスで経緯を説明、企画はタイの会社が提案したものとし「誤解を招く表現があった」「番組として真摯に反省すべき点があった」と謝罪した。
グッディは現地を総力取材。住民はもちろん、ラオスのイベント会社が「ラオスの伝統ではありません」と証言したことや、ラオス情報文化観光省や駐日ラオス大使館が口を揃えて「橋祭り」の存在を否定したことを伝えた。一方、隣国タイで同様のイベントが実際に行われている映像も放送。「タイの祭り」として放送していれば、企画としては成立する可能性にも言及した。
ただ、「イッテQ!」の番組内でタレントの宮川大輔(46)は「今ラオスとかアジアでものすごい大人気なんです」とコメントしており、虚偽の説明をしていたこともあぶり出された。
キャスターの安藤優子(59)は「ラオスで本当にそれが伝統的にやられてきたかどうか、毎年開催されてきたかどうかっていうのは一つのポイントですよね」と指摘。
「タイでやれば済んだこと。『こんな近いんだから、タイであるんだったらラオスでもあるんだろう』という思い込みがあった。『これ自体、お祭りっていうふうに捉えることもちょっと無理があったのかな』っていうふうには、何度も何度も映像を見ているうちに、ちょっとそういう印象を持ちます」と感想を語った。
http://news.livedoor.com/article/detail/15565833/
*1:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20120128/1327725020 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140103/1388727355 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140316/1394939032 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140912/1410452375 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150203/1422976315 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150219/1424362020 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160115/1452881410 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161222/1482375761 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170303/1488548554 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180714/1531581302 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180824/1535100235 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180827/1535306852 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180903/1535942722 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180911/1536634469
*2:http://bunshun.jp/articles/-/9579
*3:http://news.livedoor.com/article/detail/15565048/
*4:http://news.livedoor.com/article/detail/15566639/
*5:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060425/1145932371 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060721/1153451387 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070120/1169314955 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070518/1179458835 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070911/1189437787 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080130/1201705768 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080131/1201781124 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080402/1207104053 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080809/1218252114 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080905/1220637463 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20081203/1228280406 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090303/1236103778 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090629/1246248975 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090817/1250478867 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20091110/1257827687 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20091120/1258696685 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20091123/1258950633 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20091125/1259121898 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20091127/1259318413 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20091204/1259903793 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100415/1271309817 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100728/1280252172 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110208/1297142653 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110514/1305332192 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110701/1309495567 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110718/1310962569 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110829/1314543718 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20111024/1319430943 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130311/1362963510 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130621/1371749804 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130626/1372259830 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130725/1374722806 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20131120/1384914970 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140106/1388966577 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170509/1494299708 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20171012/1507824530 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20171018/1508346299 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180725/1532473014 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180930/1538274681
*6:Mdentioned in http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20091119/1258596290
*7:http://realkyoto.jp/blog/discover_discover_japan/
*8:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070130/1170170762 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080912/1221241060 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090120/1232436129 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101126/1290795234 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110814/1313322168 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20111223/1324582744 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130415/1366001209 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140726/1406364098 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140726/1406364098 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20141226/1419566569 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150105/1420473043 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150219/1424362020 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20151125/1448386664 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160416/1460821073 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161228/1482944460 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180303/1520088990 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180824/1535075148
*9:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20181030/1540911569