「つけびして 煙り喜ぶ 田舎者」

『毎日』の記事;


山口5人殺害:63歳男を逮捕 集落近くの山中で発見

毎日新聞 2013年07月26日 09時59分(最終更新 07月26日 13時54分)


 山口県周南市金峰(みたけ)で住民5人が殺害された連続殺人・放火事件で、山口県警は26日午前9時5分ごろ、重要参考人として行方を捜していた男(63)を金峰集落近くの山中で見つけた。男は捜査員の任意同行の求めに素直に応じたといい、県警は男を周南署に同行した。県警は保見光成(ほみ・こうせい)容疑者を山本ミヤ子さん(79)に対する殺人、非現住建造物等放火容疑で逮捕した。

 県警によると、保見容疑者は殺害された石村文人さん(80)方近くにある郷公民館から北に約1キロ入った山中にいるのを捜査員が見つけた。捜査員が名前で呼び掛けたところ、「そうです」と答えたという。

 保見容疑者は肌着とパンツの下着姿ではだしだった。山道に座り込んでいたという。すり傷はあるが、大きなけがはないという。

 県警は25日の捜索で、郷公民館から約400メートル離れた下郷橋周辺の山中で、携帯電話1台と上着とズボンを見つけた。携帯電話は電話番号から、保見容疑者が使っていたものと判明。上着とズボンも男の遺留物とみて鑑定を進めていた。

 26日は小雨が降り、時折雷が鳴る中、午前8時から約70人態勢で捜索していた。

 事件は21日夜、貞森誠さん(71)方と北東約60メートルの山本さん方が全焼。焼け跡から貞森さんと妻喜代子さん(72)、山本さんが遺体で見つかった。更に22日、近くの河村聡子さん(73)と石村さんがそれぞれ自宅で殺害されているのが見つかった。

 5人はいずれも鈍器のようなもので頭部などを複数回強く殴打されていた。県警は貞森さん方と山本さん方は殺害後に放火されたと判断している。

 保見容疑者は山本さん方の北隣に住み、火災があった21日昼ごろに住民が目撃したのを最後に所在がわからなくなっていた。家には「つけびして 煙り喜ぶ 田舎者」と書かれた張り紙があり、山口県警は22日午後、保見容疑者の自宅を殺人、非現住建造物等放火容疑で家宅捜索。行方を捜していた。

 金峰地区はJR徳山駅の北東約16キロにある山間の集落。【蒲原明佳、井川加菜美、柴山雄太】
http://mainichi.jp/select/news/20130726k0000e040180000c.html

「肌着とパンツの下着姿ではだしだった」というのを読んだとき、余所の村に夜這い*1に行って、村の若者に見つかってリンチされそうになり、ほうほうの体で山中に逃げ出したみたいだな、と一瞬笑ってしまった。
さて、メディア(或いは警察権力)はこの保見というおっさんを、とにかく〈変な奴〉というイメージに固定させようとしているようだが、上手くいくだろうか。『産経』の記事に曰く、

ヒル、天使、マネキン…不明男の自宅に奇抜な装飾品
2013.7.24 09:50 [殺人・殺人未遂]

 
庭に置かれたアヒルのオブジェ、屋根には陶器の天使、車庫に置かれた上半身裸のマネキン人形…。山口県周南市の集落で5遺体が見つかった事件に絡み県警が23日に家宅捜索した、事情を知っているとみられる男(63)の自宅は、静かな山あいにはおよそ似つかわしくない奇抜な装飾品が目についた。

 午後1時すぎ、山口県警の捜査員約10人が、2階建て住宅に正面の開き戸と裏口から入った。生い茂る雑木の先にある窓の内部には、天井からつり下げられたタヌキらしきぬいぐるみや、魚の木像が。捜索中、犬の鳴き声が断続的にギャンギャンと響く。

 仕事で近隣の集落から頻繁に現場付近に入る自営業男性は、男が腰にリードを巻き、大型犬を散歩させる様子をたびたび目撃した。「(男は)無類の犬好き。家にいる犬を放せば、あるじを見つけてくるかも」とぽつりと口にした。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130724/crm13072409500004-n1.htm

ただ、彼がムラの中でマージナルな立場にあったことは事実のようだ。また『産経』の記事;

「悪口言われ孤立」 不明男、警察に2年前相談
2013.7.24 08:41 (1/2ページ)[殺人・殺人未遂]


 山口県周南(しゅうなん)市金峰(みたけ)の集落で男女5人が殺害された殺人、放火事件で、県警周南署捜査本部が殺人と非現住建造物等放火容疑で自宅を捜索した職業不詳の男(63)が、周南署に「集落で悪口を言われ、孤立している」と相談していたことが23日、同署への取材でわかった。捜査本部は、男が近隣住民への不満を募らせた末、犯行に及んだ可能性もあるとみている。

 捜査本部によると、男は平成23年の元日に周南署を訪れ、約1時間にわたり相談。最後に「不満を聞いてもらってすっきりした」と話し、帰宅したという。

 また、死亡した河村聡子さん(73)の自宅では5〜6年前に、放火とみられる不審火が発生していたことも判明。行方不明となっている男の自宅の窓にあった「つけびして 煙り喜ぶ 田舎者」という貼り紙は、この不審火の後にはられたものだという。

 住民によると、男は数年前から集落に住むようになったが、河村さん宅の不審火の後から孤立。最近も近所とのトラブルが続いていた。県警によると、平成23年3月28日朝にも、集落の別の男性宅が全焼する火事が発生している。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130724/crm13072408440003-n1.htm
(後略)

「男は数年前から集落に住むようになった」。ネイティヴ/ニュー・カマーという対立。
「つけびして 煙り喜ぶ 田舎者」だけど、「張り紙」というよりは、何というのだろうか、よく寺の門前とかに高僧の言葉みたいなアリガタイ文句を住職さんが筆で書いて掲示しているというのがありますよね。そんな感じ、写真を見ると*2。書体もそれに近い*3。この句の、俳句業界とかでの評判はどんなものなのかしら。またこの五七五に下の句をつけようという酔狂は盛り上がっていないの?
八つ墓村』というか、そのモデルになった「津山事件」を連想している人もけっこういるんだな*4
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*1:See http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101118/1290096150

*2:http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130722/crm13072217540007-n1.htm http://sankei.jp.msn.com/images/news/130722/crm13072217540007-n1.jpg

*3:基督教の教会の前とかにも、聖書の一節とかが掲示されているけれど、その多くは角張った楷書体で、雰囲気は全然違う。

*4:Eg.http://d.hatena.ne.jp/drinkmee/20130722/1374504651