Snow Flower and the Secret Fanについてメモ

数日前に映画における「女性同士の「鏡像関係」」に言及したのだが*1、Wayne Wang*2の新作Snow Flower and the Secret Fan(『雪花秘扇』)*3について。この映画は中国では6月に、米国では7月に公開された。また、あのルパート・マードック夫人であるWendi Murdochがプロデューサーを務めていることも話題にはなっているようだ。
19世紀、太平天国の乱前後の湖南省に生きた百合と雪花という2人の女性。また、現代上海に生きるSophiaとNinaという2人の女性。19世紀と21世紀の物語が並行して描かれ、最終的には1点に合流する。李冰冰*4が百合/Sophia全智賢(Jun Ji-hyun)が雪花/Ninaという二役を演じている。つまり、人物関係だけでなく物語同士も「鏡像関係」をなしていることになる。原作はLisa See*5の同名の小説。但し、Lisa Seeの小説は19世紀の部分だけであり、現代上海の物語は映画のオリジナル。湖南省の物語はマンダリンで進行し、現代上海の物語は主に英語で進行する。湖南省の瑶族社会では同い年の女性が「老同」として生涯に亙って親密な関係を取り結ぶという制度があった。2人の間のコミュニケーションは扇子に書かれた「女書」という(男性には通じない)特殊な文字による手紙を通して行われる。映画で描かれるのは百合と雪花の紆余曲折した「老同」関係の軌跡。数年前に韓国から上海に移住してきた高校生のNinaはSophiaの祖母から「老同」と「女書」のことを教えてもらい、Sophiaと「老同」関係を取り結ぶ。Sophiaは19世紀の百合の子孫だったのだ。SophiaとNinaの「老同」関係も百合と雪花と同様に紆余曲折を経る。後に、NinaはSophiaが先祖と自分の物語(Snow Flower and the Secret Fan)を密かに書き綴っていたことを知り、Sophiaに対する誤解を解き、和解する。そして、現代上海の外灘に19世紀の百合と雪花が出現する。
現代上海の物語の起点は1997年に置かれている。流れるのは王菲の『浮躁』。

ANXIETY

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Snow Flower and the Secret Fanについては、


百度百科 http://baike.baidu.com/view/3231885.htm
Kirk Honeycutt “Snow Flower and the Secret Fan: Film Review” http://www.hollywoodreporter.com/review/snow-flower-secret-fan-film-210501
Wayne Wang “Why I Made Snow Flower and the Secret Fanhttp://www.huffingtonpost.com/wayne-wang/snow-flower-secret-fan_b_899802.html
Dino-Ray “Snow Flower and the Secret Fan Director Wayne Wang on APA Identity in the Media” http://www.8asians.com/2011/07/14/snow-flower-and-the-secret-fan-director-wayne-wang-on-apa-identity-in-the-media/
(Wayne Wangへのインタヴュー)
Lucas Kavner “Lisa See: Best-selling Author Talks Female Friendships, Adapting Her Novel To Film“ http://www.huffingtonpost.com/2011/07/12/lisa-see-snow-flower-female-friendship-film_n_894600.html
(原作者Lisa Seeへのインタヴュー)

そういえば、 Lisa SeeのShanghai Girls*6も女性同士の関係(姉妹関係)を巡る物語だった。

Shanghai Girls: A Novel

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