承前*1
ブロークバック・マウンテン プレミアム・エディション [DVD]
- 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
- 発売日: 2006/09/22
- メディア: DVD
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http://d.hatena.ne.jp/TRiCKFiSH/20080820/p5
李安の『ブロークバック・マウンテン』について。取り敢えず、メモ;
付け加えるとしたら、これは同時に当の「アメリカの田舎」の変容の物語でもあるということだろう。この映画は基本的に山/里という空間的対立からなっている。そして、あの一夜のテントでの出来事は〈山〉に属する。また、ふたりのデートの空間も〈山〉に属している。そして、時間とともに、〈山〉は〈里〉に侵蝕されていく。つまり、牛仔としての仕事は少なくなり、日雇いの土方仕事しかなくなり、昼間から缶麦酒を呑むしかないような日々。
このふたりがなぜ恋仲になるかは、とくにそのプロセスは描かれない。ある日、テントのなかでふたりは突然結ばれる。その理由を明確に描かないことは、恋愛がいかに理由付けすることが不可能なものか、もしくはヘテロとゲイの境界が紙一重であるかを上手く表していた。不条理だからこそ生じる恋愛や性志向のロマンティシズム(もしかしたら現実)を上手く描いたのである。しかし、個人的にゲイカップルの恋愛模様よりも驚かされたのは、60年代のアメリカの田舎の雰囲気だ。そこは、日本でよく知られるNYやLAなど都会のアメリカではなくて、カウボーイハットを被って羊を追ったりしている田舎のアメリカだ。夜は酒場で呑み、本当にロデオをする。その世界の狭さはとても衝撃的であった。
絶望も希望も、その田舎では必ず定型があり、イレギュラーなことは起こらないし、起きたとしても許されない。そんな世界だからこそ、同性愛がもっとも「あってはならないこと」=逸脱となり、その障壁も高いものとなってロマンティシズムも強まる。
また、http://d.hatena.ne.jp/TRiCKFiSH/20080820/p8は北野武『監督・ばんざい!』へのコメント。曰く、「80年代の素人の8ミリ作品のようだ」。
北野武自身による弁明については、http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070525/1180057355
- 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
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