小谷野氏の推理

承前*1

小谷野敦*2アインシュタイン・ショック」http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20110801


アインシュタイン その生涯と宇宙』翻訳騒動を巡って。問題の「機械翻訳」疑惑の章はそもそも誰の担当だったのか。


ではいったい、12、13、16章は誰の担当だったのか。ここに「M氏に依頼した」という不思議な文がある。まったくの第三者であれば「M氏」などと書く必要はないし、これは要するに松浦俊輔のことであろう。松浦は翻訳家だから、自分の分担分(おそらく17章以後最後まで)はとっくに終わっていた。しかし、誰かやらない人がいた。そこで松浦に泣きついて、本来その人の分担だった12-16章を訳してくれと言われ、松浦は14、15はやったが、本来やるべき人が全然着手しないので、腹を立てて、もうやらないと断った、ないし、全部自分にやらせるなら関の名前を訳者から削除せよと要求して断られ、自分もこれ以上やるのを断った、と推定するしかあるまい。二間瀬は、強硬な抗議文を送ったというから、担当部分をやらなかったのは二間瀬ではあるまい。

 つまり担当部分をやらなかったのは、関宗蔵である可能性が高い。推測でものを言うな、と言われるかしれないが、せっかくアマゾンレビューに登場しても、問題の章はそもそも誰の分担だったのかを言わない松田氏の責任であろう。

小谷野氏の推理にはかなり納得してしまう。こういうことというのはありがちなことである。というか、俺も経験がある。或る共訳者の訳稿が全く使い物にならなかったので、ほかの人が訳し直したのだが、せっかくだからということで、問題の訳者の名前は残されている。現物を持っている人にお伺いしたいのだが、翻訳の分担はどのように処理されているのか。
関宗蔵という方に関する情報はなかなか見つからなかった。辛うじて見つけたのはhttp://www.sci.tohoku.ac.jp/mediaoffice/second/interview1.html 2007年東北大学退官時のインタヴュー。 
関氏が問題箇所の担当であったにせよなかったにせよ、やはり最終的な責めは監訳者たる二間瀬敏史が負うべきだろうとは思う。松田卓也氏は二間瀬氏と師弟関係にあり、強い意見を公にすることはできないということは理解できる。しかし、関宗蔵氏との間にそのような世俗的義理は存在しない筈なのだが、どうなのだろうか。