ケルンで

承前*1

東京新聞』の記事;


ネオナチ計画国際会議  ドイツ市民ら実力粉砕

2008年9月24日 朝刊


 極右に居場所は与えない。これが過去のナチス台頭から学んだドイツ社会の民主主義だ。社会を分断する言論は民主主義の敵だというのがその理由。ドイツ西部ケルンでネオナチ勢力らが計画した「反イスラム化国際会議」は、市民の実力行使により粉砕された。 (ケルンで、三浦耕喜)

 ケルン大聖堂近くの旧市街。二十日昼、ケルン市議会の極右会派「親ケルン」のマンフレッド・ロウス市議は、報道陣が集まった広場の舞台に立った。背後には「ストップ・イスラム」の横断幕。「ただいま警察の命令を受けました。集会を中止します」。周囲の街路から若者たちの勝ちどきがとどろいた。

 親ケルンはネオナチ政党ドイツ国家民主党(NPD)の流れをくむ会派だ。同派は市内で二〇一〇年に完成予定のモスク(イスラム教礼拝所)の建設に異を唱え、国際会議を企画。オーストリア自由党、イタリアの北部同盟、フランスの国民戦線など主張が重なる各党に呼び掛け、千五百人規模の集会を予告した。

 だが、他の政党や労組、左翼グループは対抗デモを組織。四万人が会場周辺に集まった。左翼グループは広場への街路に座り込んで会場を封鎖。空港からの鉄道線路にも入って移動を妨害し、自由党欧州議会議員を含め、極右支持者を空港に足止めにした。一部左翼は会場に乱入しようと警官隊と衝突、五百人が拘束された。

 バスやタクシーも関係者の乗車を拒否。各ホテルも宿泊を断った。レストランも予約を受け付けないなど、ボイコットは一般に広がった。その前日、親ケルンは記者会見を予定したが、会場提供を拒否され、ライン川の遊覧船に場所を変更。だが船は投石で窓ガラスを破られ、逃げ回った。

 ナチスを称揚することはドイツでは犯罪にあたるが、集会は移民政策がテーマなので合法的。公道を占拠する方が違法だが、警官隊に排除するそぶりはない。

 左翼から市民まで一体になった圧力により、会場にたどり着いたのは五十人ほど。警察は「市民の安全を優先する」として集会の中止を命令し、とどめを刺した。フリッツ・シュラマー市長は「この街の民主主義の力だ」と、市民の勝利を宣言した。

 だが、市内には「モスクはいいが、イスラム批判には理由がある」と、女性の人権問題などを指摘するグループも。建設されるモスクは高さ五十五メートルの尖塔(せんとう)を持ち、欧州最大級になる点も不安を呼ぶ。市議会は先月、建設を認めたが、保守のキリスト教民主同盟(CDU)は慎重な態度を取った。

 ケルン選出の連邦議会女性議員でトルコ生まれのイスラム教徒ラーレ・アクギュンさんは「モスクが隣人に受け入れられるには、いかに場所と時代に溶け込むかにかかっている。今は腕時計も携帯電話もある時代。塔から大声で礼拝の時刻を呼びかける必要はない」と、イスラム側の努力も促している。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2008092402000129.html

伊太利(ロンバルディア)の北部同盟オーストリア自由党仏蘭西国民戦線*2が勢揃いしたというのはかなり香ばしいことだ。