既に9月の新聞記事ではあるが、
王蔚「小学三年級只要識2000字 操之過急」『新民晩報』2007年9月12日
日本では〈ゆとり教育〉というのは既に流行っていないようだが、中国では「減負」という名で、現在も教育の〈ゆとり〉化は進行している。上海市ではこれまで、小学校3年までに覚えるべき漢字は2200字だったが、今年9月の新学年から2000字に減らされた。
老舎の小説『駱駝祥子』は全107360字だが、使用されている漢字は2413種類。また、『毛沢東選集』全5巻は約1200万字で、約2000種類。『Deng小平文選』では2500種類しか使われていない。さらに、伝統的に識字のための教科書として使われてきた『三字経』は1145種類、『百家姓』は568種類、『千字文』*1はその名の通り1000種類を使っており、これら3書の中で使われている漢字は重複を差し引くと、約2200字である。
中国の教育部と国家語言委員会では、9月に「漢字水平測試」を行ったが、それは3つのグレイドに分かれている。「一級」は「勝任対漢字応用能力有很高要求和以使用漢字為主要任務的各類工作」で、4500〜5500字。「二級」は「勝任対漢字応用能力有比較高要求和以使用漢字為主要任務的部分工作」で、4000〜4500字、「三級」は「勝任対漢字応用能力有基本要求和工作任務渉及漢字応用的一般事務性工作」で、3500〜4000。中国で、「非文学」的な一般事務に従事するには4000の漢字を知っていれば足りることになる。最近、国家語言委員会は大学生を対象に漢字能力の調査を行ったが、それによると、誤字や筆画の誤りが多く、ある説では、小学生段階で量的に詰め込みすぎたために、質が落ちている(漢字のディテイルまで注意が及ばなくなっている)という。因みに、現在の中国のカリキュラムによると、習得されるべき漢字は、小学校段階で2500字、初級中学段階で3500字である。
- 作者: 老舎,立間祥介
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1980/12/16
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