『漢字・瞳孔』など

日曜日は、最近女の子が産まれた仏蘭西人のE氏のところにお子様を拝見に行く。E氏は仏蘭西租界の弄堂の奥深くに住んでいる。久しぶりに仏蘭西語が口に出たものの、すぐにMon Francais tres pouvreとかいって、英語に切り替える。
それから、永嘉路の辺りを散歩。藝術労動画廊(ART LABOR Gallery)*1で、任芷田『漢字・瞳孔(Script & View)』を観る。展示された任氏の作品は2つの系列に分かれている。一つは「習字磚」というシリーズで、磚の上に楷書を書き連ねたもの。もう一つは図像や地図の上に古典の一節を重ねた水墨の作品。例えば、星条旗の上に『論語』の一節を重ねたり、「北有冥海」と題して航空母艦の図像の上に『荘子』の「逍遥游」の一節を重ねたり、イラク地図の上に『孫子』の「火攻篇」の一節を重ねたり、ペンタゴンの図の上にチベットの『死者の書』(漢訳『度亡経』)の一節を重ねたり。中国の現代アートは〈中国的なるもの〉をアイロニカルにコラージュした軽みをもったものが多いが、任氏の作品にはそれらとは対極的な重みあり。
それから、中国名を「宋芳」という仏蘭西人女性が経営する「宋芳茶館(SONG FANG Maison de the)でシノワズリな茶罐を買い、古道具屋で木の腰掛を50元で買う。それから、上海料理の店「点石斎」で食事。