これがメタファー

スポーツニッポン』の記事;


黒岩氏 笑顔なき神奈川県知事選4選 不倫報道に謝罪「再スタートしなければ」
4/10(月) 5:30配信


スポニチアネックス

 第20回統一地方選は9日、前半戦の9道府県知事選と6政令市長選などが投開票され、神奈川県知事選では、過去の不倫が選挙中に報じられた現職の黒岩祐治氏(68)*1が4選を果たした。

 テレビの選挙特番で黒岩氏の「当確」が伝えられると、横浜市の選挙事務所に集まった支援者から拍手が起きた。ほどなくして、グレーのスーツに青のネクタイを締めた同氏が登場。硬い表情で口を一文字に結んだまま。自身に送られた拍手に何度もうなずいて応えた。

 笑顔なき勝利。黒岩氏は改めて「私の10年以上前の話だが、プライベートなことで大変皆さんに不快な思いをさせてしまった」と陳謝した。「神奈川のプライドを傷つけてしまった」と自らを恥じ「これからゼロからのスタートではなくてマイナスになった。それから新たに自分はスタートしなければならない」と険しい表情を崩さなかった。

 市民団体共同代表岸牧子氏(66)=共産推薦=ら3新人を破り、4選。恒例の万歳三唱はなく祝勝ムードにはほど遠い雰囲気で「本来ならば万歳で笑顔で皆さんと勝利を喜び合うのが通常だが、正直今の私の心境としては万歳と言って喜ぶ心境ではない」と神妙な表情で語った。

 選挙戦終盤の5日、過去に11年間にわたって年下女性と不倫していたという“文春砲”を浴び、その後は有権者への謝罪に追われた。新人3人を相手に知名度と支援組織で圧倒していたはずだったが、風向きは変わり有権者から「本当に投票したい候補者が誰もいなかった」「消去法で仕方なく」と冷ややかな声も上がるようになった。

 自覚するように次の4年はいばらの道が待っている。神奈川を地盤とする菅義偉前首相や小泉進次郎環境相らも応援に入り、結果だけ見れば圧勝。ただ自民関係者は「もう少し早く不倫報道が出ていれば結果は分からなかった。ほかの候補者の知名度が低くて救われただけ。有権者は苦渋の選択を迫られた」と本音を隠さない。不倫相手に送った「アワビにバナナ」などの下ネタメールもさらされ、求心力は急降下。同関係者は「次に何かあれば一発アウト。アワビの話じゃないが、バナナの皮で今度こそ足を滑らせることになりかねない」と危機感を募らせた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/5bf1cac43fb4d9868b660dd28edda48b1e47a95c

黒岩当選を報じる『週刊文春』の記事はクールな調子で書かれていて、却って笑いを誘うものだったのだけど*2、それよりも驚いたのは「文春砲」に対する世間の人々の反応の方だった。処女や童貞ならいざ知らず、普通の大人なら、こんなことにいちいち驚いたり、大袈裟に道徳的憤慨を表出してみたりすることの方が恥ずかしいのでは? 自分は黒岩などよりも恥ずかしい存在だということをもっと自覚すべきなのでは? 
その『文春』の記事を読んで、寧ろ所謂ガラケーの画面に妙な懐かしさを感じてしまったりもしたのだけど、問題の中心は「メール」ではなくその後の別れ方にあった筈なのだけど、無料で読めるウェブ版の記事ではその部分は、読みたければ紙の『週刊文春』を買えという感じで省かれている。このことが、世間の反応が「メール」に集中してしまった一因だろうか。


週刊文春」編集部「「生放送前のナマだよ~!!」「アワビにバナナ」黒岩祐治・神奈川県知事(68)“11年不倫”〈証拠メール入手〉」https://bunshun.jp/articles/-/61913


この記事を読んで最初に感じたことは、成田悠輔*3とかたかまつなな*4とかは黒岩さんのメイルを熟読すべきだということだった。私は何よりもこの人たちの「メタファー」という言葉の使用にもやもやしていたのだった。この人たちの謂う「メタファー」は私が知っている、修辞学や意味論の用語としての「メタファー」ではない。しかし、黒岩のいう「アワビにバナナ」とか「桃にキュウリ」というのは修辞学の教科書に載ってもいいような「メタファー」である。〈類似〉による意味の生成。


デイリー新潮編集部「不倫・わいせつメール発覚でも再選した黒岩知事 早大雄弁会の後輩も呆れる、フジテレビ時代との落差」https://news.yahoo.co.jp/articles/bd08b2c6db2101e66ea8fe82aa1b7f6e99da2e0b


曰く、


「記事*5を読んだ第一印象は、イタイなぁでした。あの真面目でものすごく紳士的だった黒岩先輩が……。あれじゃ、政治家じゃなくて性治家ですよ」

 というのは、都内在住の30代会社員。早稲田大学雄弁会出身で、黒岩氏の後輩にあたる。早大雄弁会は121年の歴史を誇る弁論部で、多くの政治家が輩出したことでも知られる。竹下登小渕恵三海部俊樹森喜朗といった総理大臣はもちろん、現職の衆参両院議員や黒岩氏のような地方首長などもいる。


「いわゆる地盤(組織)、看板(知名度)、カバン(資金)の3バンが最初から揃っていない限り、雄弁会から即政治家というコースはありません。そのため、まずはマスコミに入って取材の過程で政治家と接点を持って転身するとか、中央省庁で秘書官などを務めて大臣に目をかけてもらい、政治家に転身するというケースが多いです。会の活動の中で、各界で活躍するOB訪問というのがありました。そこで黒岩先輩に初めて会ったのです」(同)

 この会社員氏が、フジテレビに黒岩氏を訪ねたのは2000年代初め。件の女性との不倫関係が始まったばかりの頃だった。

「多忙を理由に断るOBが多い中で、黒岩先輩は快く訪問を引き受けてくれました。1年と2年の学生、数人でお台場のフジテレビに向かったのです。慣れないスーツを着ていましたが、何しろフジテレビが絶好調の頃ですし、お台場の社屋はとにかく凄くて。本社ビル25階の球体展望室など社屋を見学し、喫茶室でコーヒーをご馳走になりながら、1時間ほど、話をうかがいました」

 その席で黒岩氏は、自ら手掛けた救急医療キャンペーンから救急救命士制度が誕生したことや、一連の報道により第16回放送文化基金賞民間放送連盟賞を受賞したことなどを話し、さらにシリーズで制作していた「感動の看護婦最前線」でも民間放送連盟賞を受賞したことなどを話したという。

「決して威張ることもなく、テレビと同じ穏やかな口調で、ご自身の取材活動を振り返っていました。展望室から見える景色も最高で、素晴らしい仕事をして、こんな素敵な社屋で働いている先輩が羨ましく、そして誇りに思ったことを思い出します」

 黒岩氏は名門・灘高校から早大政経学部に入学。高校生の時にみた映画「ウエストサイド物語」に影響を受けており、雄弁会の他にミュージカル研究会にも所属していた。かつて受けた取材で本人が語っているところでは、フジテレビへはミュージカル番組制作を志しての入社で、「ピンポンパン」のような子供の夢を育てる番組を作りたいと思っていたという。

「それは知りませんでしたが、私にとって黒岩先輩は尊敬する偉大な先輩でした。早大雄弁会は社会変革を志すことを重要な指針にしています。まさに黒岩先輩の活動は社会変革を成し遂げた訳ですから。でも、自信満々で後輩の私たちに熱く語っていた、まさに その時期に『A子だけに本音を放出! (擬音語)』なんてしょーもないメールしていたのでしょう。あの姿とギャップがあり過ぎて……。雄弁会は女性にモテるタイプは少ないし、ちょっと変わった人間が多かったとはいえ、アレではねぇ……」

そもそも「雄弁会」というのがキモい団体だと思う。森喜朗*6も「雄弁会」だったのか!

*1:See also https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20170726/1501048330 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2022/05/21/141424

*2:「文春オンライン」特集班「「こんなに選ぶのが大変な選挙ってありますか?」“ニュルニュル不倫メール”発覚も、知事4選の黒岩祐治氏(68)に神奈川県民が突き付けたホンネ《ナマの声を聴いてみた》」https://news.yahoo.co.jp/articles/08081107a045ae7d46342b67675c86fd5b35b741

*3:See also https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2022/07/27/152343

*4:See also https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2023/04/10/130020

*5:週刊文春』の。

*6:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070430/1177865786 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070917/1189957657 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20081203/1228302788 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090904/1252094185 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090922/1253616098 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100106/1262755343 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100810/1281448735 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110705/1309879437 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110729/1311868234 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110905/1315243000 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20120507/1336396198 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140210/1392005143 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150601/1433169873 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150716/1437069891 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150719/1437325616 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160307/1457329008 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160705/1467732606 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160728/1469672337 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180127/1516979478 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20181002/1538500386 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20181018/1539875887 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/10/20/110815 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/11/02/021751 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2020/10/30/095100 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2021/02/05/111013 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2021/02/05/135938 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2021/02/20/210339 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2021/03/10/111907