富岡多恵子

『読売新聞』の記事;


多彩な執筆活動繰り広げた富岡多惠子さん、87歳で死去…「波うつ土地」「中勘助の恋」
2023/04/10 19:38


 小説「波うつ土地」をはじめ、評論や戯曲など多彩な執筆活動を展開した作家の富岡多惠子(とみおか・たえこ、本名・菅多惠子=すが・たえこ)さん*1が8日、老衰で死去した。87歳。告別式は11日午前9時半、静岡県伊東市川奈1256の19法輪閣。喪主は現代美術家で夫、菅木志雄(すが・きしお)氏。

 大阪市生まれ。詩人の小野十三郎の影響を受けて詩を書き始め、1958年、詩集「返礼」でH氏賞を受賞。その後、小説を手掛け、「冥途の家族」で女流文学賞を受けた。鋭い批評眼と文学性を持った評論も評価が高く、「中勘助の恋」で94年に読売文学賞。「 釋●空しゃくちょうくう ノート」(毎日出版文化賞)、「西鶴の感情」(伊藤整文学賞大佛次郎賞)などを執筆した。読売文学賞の選考委員も務めた。日本芸術院会員。

 慶応大の小平麻衣子教授(日本近代文学)の話「詩人としての鋭敏さを持ち続け、大阪の方言や古典などを取り入れながら、男女の深いかかわりを描いた小説を残した。上野千鶴子さん、小倉千加子さんと共著で出した『男流文学論』は、男性作家の作品を論じ、フェミニズム批評として先駆的だった」

(●は二点しんにょうに召)
https://www.yomiuri.co.jp/culture/20230410-OYT1T50246/

1980年代の一時期、富岡さんの本をけっこう集中して読んでいたことがあった。その時の経験は、私の意識の底に潜り込んで、私の感じ方や思考の仕方にそれなりの影響を及ぼしている筈なのだけど。短篇「遠い空」を読んだのもその頃だろうか。これは静謐でありながら、現代における最も暴力的な小説のひとつかも知れない。美でも醜でもなく崇高という言葉を使いたくなる。
また、篠田正浩の『心中天網島*2は私に最も印象を刻んだ映画のひとつだけど、このシナリオには富岡さんが参加している。