「タブロイド」小説

共同通信の記事;


坂口安吾、幻の探偵小説を発見 全集未収録、文芸誌掲載へ
2022/12/06


 「堕落論」「白痴」などで知られる作家坂口安吾(1906~55年)*1がデビュー間もない20代半ばに執筆した「探偵小説」が見つかったことが6日分かった。戦前のタブロイド紙に発表していたが、全集などには未収録で、長らくその存在は知られていなかった。識者は「全くの新資料」と説明。7日発売の文芸誌「新潮」に掲載される。

 小説は「盗まれた一萬圓」と題された、400字詰め原稿用紙30枚ほどの短編。週刊紙「東京週報」33年10月15日号に発表された。旧家を舞台に、書斎から1万円が消えたという導入から、語り手の医師が「名探偵」として捜査に乗り出す物語。
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安吾の「探偵小説」といえば『不連続殺人事件』だけど、これは戦後の1947年の作。
ところで、「戦前のタブロイド紙」ということだけど、日本の文脈では「タブロイド紙」という言葉はあまり使わないよね。そもそもtabloidは印刷物のサイズの種類のことで、日本で言えば、『夕刊フジ』とか『日刊ゲンダイ』のサイズ。英語圏(特に英国)においては、ブロードシート判の高級紙、タブロイド判の大衆紙という区別があったが、そのため、tabloidというと、高級紙の立場からの上から目線による低俗な大衆紙という意味合いがあるけれど、日本ではそういう使い方はない。『夕刊フジ』とか『日刊ゲンダイ』が低俗な新聞であることはたしかだけど、だからっていって、これらを軽蔑する意味で「タブロイド」ということは殆どないのでは? この『東京週報』が「タブロイド紙」だというのは、たんにサイズの問題なのだろうか、それとも低俗という意味を含んでいるのだろうか?