- 作者: アンヌレエ,Anne Rey,村松潔
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2004/05/01
- メディア: 新書
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アンヌ・レエ『エリック・サティ』(村松潔訳)*1を数日前に読了する。
実はこれまでエリック・サティについて断片的な記述や評論は読んだことがあったけれど、まとまった伝記を読んだことはなかった。なので、この本はちょっと記述が散漫ではあるが、色々と興味深かった。また、この本は世紀末の象徴主義の時代から第一次世界大戦後のダダイズムの時代、シュールレアリスム前夜までの、サティのほかに主要な登場人物としてドビュッシー、ジャン・コクトー、パブロ・ピカソを配した仏蘭西文化史としても読める。
社会のなかの単独者
ジムノペディストの苦悩
「秘教的サティ」
緑色の瞳の少女
時宜を得た微罪
パリジャン、サーカスへ行く――『バラード』
二つの美学のはざまで――『雄鶏とアルルカン』
「骨から救われた」――『ソクラテス』
舵を左へ
何もかも捨ててしまえ
ドビュッシーとサティ
証言と資料
原注
サティ連続演奏会覚え書(高橋アキ)
作品表
最後の「証言と資料」と資料はサティのテクスト、サティに関するジョン・ケージ、ピエール・ブーレーズらのテクストの抜粋。高橋アキ「サティ連続演奏会覚え書」は日本におけるサティ受容史についての興味深い証言。
高橋アキの夫である秋山邦晴は「第二次世界大戦中、中学生だった頃に春山行夫や坂口安吾を読んでサティのことを知ったそうで、それ以来サティを研究し惹かれ続けてきたという筋金入りのサティストだ」(p.215)。坂口安吾は日本におけるサティ紹介の先駆者でもあった。安吾はジャン・コクトーの「エリック・サティ」を訳していている。深夜叢書社から出たヴァージョン*2を偶々持っているのだが、amazon.co.jpで検索しても引っかからない。
なお、エリック・サティの母親は英国人。父親は「イギリス嫌いのカトリック」だったが、エリックと弟は「英国国教会の洗礼を受けた」(p.13)。